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「日本の精神と日本的儒學」というテーマで幾度か出稿してきましたが、今回が最後になってしまいましたので、今まで書き溜めていた原稿をアップして終了したいと思います。
西田哲學
西田幾多郎をここで取り上げたのは彼が仏教の禪に影響を受けて、「絶対無の自覚」という哲學を築いたからです。この「絶対無の自覚」は自己を滅卻することであり、それが出來て始めて、自他相忘れ、主客相沒することができるということであり、相手の言葉と行動をそのまま受け入れることができるようになります。
また、自分の居る場所を忘れるくらいに何かに夢中になることを「絶対無」と言います。松尾芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」のように、自分自身が自然と一體になって、我を忘れ、時も忘れ、無になることを意味します。月をみて、我を忘れて、時間がすぎることを忘れてしまう。月と自分が一體となるのです。そうした狀態(tài)のことです。自他相忘れ、主客相沒した現(xiàn)実に目覚めること、すなわち自己が絶対に無であるという自覚が「絶対無の自覚」です。
日常の問題に煩わされていると現(xiàn)実が見えなくなります。それをどう解消したら良いのでしょうか。自覚における自己とは自己を閉じ込めるのではなく、外に対して開放することです。自己を社會に対してオープンにすることです。だから自覚とは周りの社會に自らを開放することです。心を無にしてあらゆる外部の事象を受け入れるのです。すなわち、「絶対無」としての自己を滅卻した「自覚」はそこにあるのです。何かの役割に対して自分を認識するのではなく、何のわだかまりも持たずに、自分を開放することです。そうすると自分の判斷に邪魔されずに外の世界が見えてきます。
今置かれている現(xiàn)在の環(huán)境がいつまでも安定しているとは限りません。いつ崩壊するかわからないのです。ですので、現(xiàn)実の場所ではなく、仮想現(xiàn)実の中に心の安定を求めることが出來ます?!附~対無」の中に身を置くということは現(xiàn)在の自己を認識せず、滅卻することなのです。だから、「絶対無の自覚」は主観客観の區(qū)別を超えたところにあるのです。主観客観の區(qū)別を超えるという意味は月を見て我を忘れる現(xiàn)象のことです。
儒學の「格物致知」、老子の「無為自然」に共通するものがあります。物の本質を見極めるためにはこうした精神の研鑽が必要です。
最後に
この儒學は経験を分類仕分けするための人倫規(guī)範としてのスプレッドシートを提供しているので、その各マス目の中身には経験を書き込みなさいと言うことです。儒學では道徳的価値観としての判斷基準を與えるので、あとはそのマス目に自らの経験をプロットしていくことになります。そうすることによって、自分の経験が體系化されていくのです。そうした経験を蓄積していくことが修身です。
日々起こる物事に対して、思索をして、善悪?是非を明らかに弁別して、それを真剣に考え、実踐することによって、自分を鍛えていくのです。そうした儒學をベースとした伝統(tǒng)と習慣を維持していくことによって、日本人の威厳を身につけることが出來ます。
日本人が江戸時代まで持っていた日本人の本來の精神は何かということを我々は改めて認識する必要があります。特に日本が大東亜戦爭に負けて、アメリカのGHQのWar Guilt Information Programによって自虐史観が未だに定著したままになっています。今あらためて、日本人はこうした日本の精神を今あらためて學問し、歴史を勉強し直すべきでしょう。そうすることができれば、日本人が世界に対して何が出來るのか、何をするべきなのかを自信を持って、行動できるようになるでしょう。
■筆者プロフィール:海野恵一
1948年生まれ。東京大學経済學部卒業(yè)後、アーサー?アンダーセン(現(xiàn)?アクセンチュア)入社。以來30年にわたり、ITシステム導入や海外展開による組織変革の手法について日本企業(yè)にコンサルティングを行う。アクセンチュアの代表取締役を経て、2004年、スウィングバイ株式會社を設立し代表取締役に就任。2004年に森田明彥元毎日新聞論説委員長、佐藤元中國大使、宮崎勇元経済企畫庁長官と一緒に「天津日中大學院」の理事に就任。この大學院は人材育成を通じて日中の相互理解を深めることを目的に、日中が初めて共同で設立した大學院である。2007年、大連市星海友誼賞受賞。現(xiàn)在はグローバルリーダー育成のために、海野塾を主宰し、英語で、世界の政治、経済、外交、軍事を教えている。海外事業(yè)展開支援も行っている。
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