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中國が南米ペルーとの経済関係強化に動いており、ペルーを南米戦略の拠點にするのではないかとの見方が強まっている。寫真はペルー。
中國が南米ペルーとの経済関係強化に動いており、ペルーを南米戦略の拠點にするのではないかとの見方が強まっている。
中國がペルー進出に熱心になっていることは數(shù)年前から中南米関係者の間でよく指摘されていた。中國の南米戦略の最重點國はブラジルに次いでペルーという見方が有力になっている。中國企業(yè)はペルーの鉱業(yè)分野やインフラ部門を中心に積極的に投資しており、今や「ペルー経済の発展は中國の存在を抜きにしては考えられない」(ペルーの有力エコノミスト)といった聲が聞かれるほど。両國の緊密な経済的結び付きを象徴するのは、今年6月末、ペルーのボルアルテ大統(tǒng)領が中國を公式訪問し、習近平國家主席と會談したこと。両國のメディア報道によれば、雙方は2國間の経済?貿(mào)易面での強化関係をもう一段格上げすることで合意した。また、この首脳會談で両國間の自由貿(mào)易協(xié)定(FTA)の拡充を目指す交渉も事実上完了したと伝えられる。習近平主席は鉱業(yè)のほか電力?通信?港灣などのインフラ分野でも経済支援を拡大すると述べたという。
ペルーの主要メディアによると、ボルアルテ大統(tǒng)領は中國企業(yè)の投資がペルーの経済?社會発展に大いに貢獻していると謝意を表明した上、インフラ部門への一層の投資を歓迎し、新エネルギーや教育分野への中國の支援も要請した。同大統(tǒng)領の訪中にはペルーの鉱業(yè)、電力、港灣事業(yè)に攜わるビジネスマンが同行し、中國側の関係者と會談したことが確認されている。
ペルー経済財政省などの資料によれば、両國の経済関係が緊密化する契機になったのは2009年のFTAの締結。2000年代前半まではペルーの最大の貿(mào)易相手國は米國だったが、2019年以降は対米貿(mào)易の割合が徐々に減少し、逆に対中貿(mào)易のシェアが著実に増加した。さらに2013年には中國とペルーの間で「包括的?戦略的パートナーシップ」協(xié)定が結ばれた。これ以降、ペルーの鉱業(yè)やインフラ部門への中國企業(yè)の進出や投資が本格化した。中國企業(yè)はペルーの主要産物である鉄鉱石のほぼすべて、銅の4分の1、石油の約3分の1の生産に関與しているといわれる。
通信分野では中國の通信機器大手?華為技術(ファーウェイ)が存在感を示す。ペルー國內(nèi)の通信インフラや攜帯電話の分野ではファーウェイが最有力企業(yè)となっている。在リマ外交筋は「中國の対ペルー投資が習近平主席の唱える『一帯一路』構想の南米戦略の一環(huán)として行われている點に注目すべきだ」と強調(diào)する。ペルーは2019年に中國との間で「一帯一路」構想への參加を表明する「了解覚書(MOU)」を取り交している。
こうした中、中國の新たな南米戦略の重要拠點がペルーになるのではないかとの見方を裏付けるようなプロジェクトが進行中である。首都リマの北方約70キロのチャンカイ市で中國の巨額支援で総額35億ドル規(guī)模の大型港灣建設が進められている。これが完成すれば、ペルーから鉱産物など主要産品を中國や東南アジア諸國に大量に運ぶことができ、輸送時間も2週間短縮されるというメリットがある。一方、中國にとってはチリ、ボリビアなど他の南米諸國や中米各國へのさらなる進出のハブ港にすることができる利點があるとされる。
実はこのプロジェクトの協(xié)定締結まで紆余曲折があった。同プロジェクトのペルー側関係者によれば、2000年に中國國営の海運大手「中國遠洋海運集団」の子會社である「中遠海運港口有限公司」が新港の管理會社の株式の60%を取得、翌21年にペルーの國立港灣局(APN)と新港の獨占的運営権に関する?yún)f(xié)定に調(diào)印した。ただ、その後、APNが「行政上のミス」を理由に協(xié)定無効を主張する異例の事態(tài)が起きた。ペルーの政治アナリストは「ペルーが中國に向こう30年間の運営権を與える上、その後も中國が運営権を維持できるといった協(xié)定內(nèi)容にペルー國內(nèi)で反対論が起きため、APNが『行政上のミス』として協(xié)定をご破算にしようと試みた」と推測する。中國側は一時、契約違反と非難し、國際裁判に持ち込む動きを見せた。
しかし今年6月、ペルー議會で協(xié)定の締結を事実上容認する法案が成立、問題解決への道が開かれた。ボルアルテ大統(tǒng)領は同法案に署名し、訪中の際の“手土産”にしたとの見方が専ら。習近平主席は11月にペルーで開催されるアジア太平洋経済協(xié)力會議(APEC)の首脳會議に出席の折、チャンカイ新港の落成式に臨むとの情報も流れており、そうなれば中國の南米戦略に一段と弾みがつくことになろう。
■筆者プロフィール:山崎真二
山形大客員教授(元教授)、時事総合研究所客員研究員、元時事通信社外信部長、リマ(ペルー)特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。
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