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そのことを知った私は、ショックで一睡もできなかった。曽おじいさんは戦爭によって言葉や文化の交流がうまくいかず、中國での生活も困窮して、間接的に他郷で客死することになった。
「お前の曽おじいさんは日本人だよ。このこと知っていたの?」と父は大學(xué)入學(xué)式で私に言った。私は本當に驚いた。大學(xué)の専攻として日本語を選んだのは、英語は得意なので、別の言葉を勉強して將來の就職競爭力をつけたいと思ったからだった。まさか日本出身の祖先がいるとは思わなかった。
それを知った後、曽おじいさんについて父に尋ねた。更に話をすると、次のようなことが分かった。曽おじいさんは日中戦爭の中後期に「開拓団」の農(nóng)夫として中國に來た。ある時日本の軍隊が別の場所に移動して、農(nóng)夫たちもそれに伴って移住することになった。しかし、その途中で曽おじいさんは本隊からはぐれてしまい、あてもなくある村にたどり著いた。見知らぬ土地に行き、言葉も通じなかったので、村人から迷子扱いされた。村に定住して、その後、曽祖母と結(jié)婚したそうだ。
私は父に曽おじいさんの名前を?qū)い亭俊埬瞍胜?、あの時は日本語がわかる人はいなかったので、曽おじいさんの出身や詳細な情報ははっきりしていないという。日本の本名すらわからないのだ。ただ、若くして中國に來たものの、日本に帰ることができず、異國の地に葬られた日本人だということだけが分かった。
そのことを知った私は、ショックで一睡もできなかった。曽おじいさんは戦爭によって言葉や文化の交流がうまくいかず、中國での生活も困窮して、間接的に他郷で客死することになった。曽おじいさんは亡くなる直前に遺言を殘していなかった。しかし、私が夜を徹して考えた彼の最後の願いは、日中間に戦爭が起こらないでほしいということだったと思う。彼は戦爭によって、さすらい、身をおちつける所がなかった。今後、誰かが客死するようなことが起こらないことを願っていたと私は信じたい。
日中間の文化交流を強化し、両國がお互いを十分に理解することは戦爭を阻止する効果的な方法だと思う。日中平和友好條約が締結(jié)された後で、條約の意義は民間交流の面で特に際立っている。例えば、戦時中に中國に殘された多くの日本人や孤児が、條約の締結(jié)後、船に乗って日本に帰って家族に再會することができるようになった。これまでに100萬人ぐらいの日本人の帰還に成功した。こうした大規(guī)模な日中民間交流が成功した背景には、日本語を?qū)Wび、なおかつ日本語に精通している中國人學(xué)生や日本語通訳者の存在がある。
ただ殘念なことに、曽おじいさんの身近にはそうした人がいなかったのだ。だから、私は中日両國の文化背景を理解し、日本人の血統(tǒng)を引く中國人として両國間の文化交流のために自分の力を発揮するべきだ。そこで、その夜考えた末、私は「就職競爭のために日本語を勉強する」という目標を、「日中友好関係と平和発展に貢獻するために日本語を勉強する」という目標に変えることにした。
実際に大學(xué)に入ってから、自分の力を高めるために中日文化交流會などに參加するようになった。交流を通して、條約の今日的な意味を?qū)g感した。新型コロナの感染癥拡大の中でも、両國の大學(xué)生たちの文化交流は中斷しなかった。インターネットなどの先進技術(shù)の発展の中で、人との交流はますます容易になった。オンライン會議などを通じて、お互いの文化を伝え、參會者たちはお互いに友好的で睦まじい関係を築いた。日本側(cè)の學(xué)生たちと私たちは両國の文化の異同點を交流し、會議の終わりには、日本の教授が私たちに余すところなく知識を教えてくれた。素晴らしい體験だった。
その後、先人たちがこの條約を結(jié)んだ意義を理解した。先人たちは、日中両國の子孫が二度と戦爭の慘禍を経験せず、いかなる偏見も持たない前提で、楽しくコミュニケーションして、共に発展することを願っているのだ。日中が「友好條約」の下で手を攜えて共に前進し、明るい未來に向かって歩み出すことを願っているのだ。同時に、曽祖父を弔うためにも、私は両國の交流を促進するために自分の力を盡くしたいと思う。
■原題:先人たちに學(xué)ぼう――日中平和友好條約の今日的な意味
■執(zhí)筆者:劉明碩(廈門大學(xué)嘉庚學(xué)院)
※本文は、第19回中國人の日本語作文コンクール受賞作品集「囲碁の智恵を日中交流に生かそう」(段躍中編、日本僑報社、2023年)より転載?編集したものです。文中の表現(xiàn)は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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