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中國メディアは「中日自動車3大決戦、日本に時間はない」という記事を掲載し、中國、東南アジア、歐州での戦いを分析した。寫真は上海。
中國は2023年に世界一の自動車輸出國の座を日本から奪った。中國メディアはこの成果に湧き立ったが、春節(jié)開けにトーンダウンした。歐米による電気自動車(EV)普及目的の引き下げが相次ぎ、先行きに不透明感が漂ってきたためだ。中國メディアはそれらを否定し、「いや、大丈夫だ。なぜなら…」というスタイルの記事が増えている。その中から、日中の戦いを特集した記事を分析したい。
テンセントニュースは「中日自動車3大決戦、日本に時間はない」という記事を掲載した。中國、東南アジア、歐州での戦いを分析している。
中國の自動車市場では以前、日系車が優(yōu)位に立っていた。ピークの2020年には日系車のシェアは20%だった。日産シルフィは20~22年に3年連続で販売臺數(shù)トップとなり、ファミリーセダンの王座にあった。しかし、23年に中國の國産車が日系車の優(yōu)位をついに打ち破る。カローラレビンやシルフィは致命的な打撃を被った。記事はその姿を秦王朝を倒すきっかけとなった陳勝?呉?guī)冥蝸yになぞらえ、大げさに表現(xiàn)している。そして代わりに王座に就いたのはBYD(比亜迪)の秦PLUSだった。
データを整理すると、23年の國內(nèi)販売の內(nèi)訳は、內(nèi)燃エンジン車(HV含む)が前年比2.4%減の1382萬臺でシェア62%、純EVが同28.2%増の507萬臺でシェア22.8%、PHEVが同69%増の 178萬臺でシェア8%、レンジエクステンダー(エンジンは発電のみに使うPHEVの一種)が同181%増の64萬2000臺でシェア2.9%。
日系3大ブランドは、トヨタが前年比1.7%減の190萬8000臺、ホンダが同10.1%減の123萬4000臺、日産が同16.1%減の79萬4000臺だった。ほぼ內(nèi)燃エンジン車とすれば、內(nèi)燃エンジン車の日系シェアは30%に近い。新エネルギー車(EV、PHEV、燃料電池車)の直接の優(yōu)遇策はほぼ終了したが、內(nèi)燃エンジン車には高稅率が課され、車両登録に高額な費用と時間を要する。いまだひどい不公平な制度に守られていても、純EVのシェアは22.8%だ。內(nèi)燃エンジン車は健闘しているといってもいい。日系はPHEVやレンジエクステンダーに注力すれば十分戦えそうだ。
しかし、日産は中國生産能力を約30%削減の50萬臺、ホンダは約20%削減の30萬臺にすると伝えられている。
東南アジアの主戦場はタイだ。日系はタイ市場で60年の歴史があり、圧倒的優(yōu)位を築き上げた。日系には15の完成車、部品工場の集積があり、シェアはなんと90%を占める。タイ人はトラック、バスからオートバイに至るまで日本車を好む。これに対し、中國系はまだ進(jìn)出したばかり。しかし、タイのビジネス界を牛耳っているのは中國系だ。そして裕福な中國系は総じて親中姿勢だ。彼らは中國車の市場開拓に骨を折るはずだ。進(jìn)出は目覚ましい。
新エネルギー車トップのBYDは22年9月にタイのWHA工業(yè)団地との契約を発表した。179億バーツ(約740億円)を投資し、年産15萬臺規(guī)模の工場を建設(shè)する。23年3月に基礎(chǔ)工事を終え、24年中の生産スタートを目指している。
國有自動車企業(yè)トップの上海汽車は23年4月、「上汽正大新能源産業(yè)園區(qū)建設(shè)項目」を発表した。標(biāo)準(zhǔn)的な工場、倉庫、コンテナヤード、発電所などを12萬平方メートルの敷地に建設(shè)し、EVの基幹部品の現(xiàn)地生産を?qū)g現(xiàn)し、23年10月の稼働を見込む。
その他、広州汽車傘下の広汽埃安は23年3月、64億バーツ(約265億円)を投資してEV工場を建設(shè)すると表明。長安汽車も同年4月、98億バーツ(約405億円)を投資して世界的な右ハンドル車の生産拠點を作ると発表した。
今年3月には、日系メーカーのショールームが次々に中國系に替わっていると伝えられた。タイ市場の日系シェアは22年の90%から23年には78%に低下し、中國系は5%から11%へと倍増した。タイでの成功は東南アジア全域からオセアニアまで波及効果が大きい。命運のかかる戦場だ。
歐州では基本的に地元メーカーが強(qiáng)い。しかし日系も50年間、市場の深耕を続けてきた。トヨタは23年に82萬8000臺を販売し、フォルクスワーゲンに次ぐ2位に付けた。中國は輸出世界一になったとはいえ、歐州市場のシェアは3%程度にすぎず、トヨタ1社にも遠(yuǎn)く及ばない。
5000臺以上のBVDの海豚(ドルフィン)、元PLUSを載せた船が2月26日にオランダ、ドイツ、ベルギーに寄港した。歐州メディアはこれを「東方の怪獣」と表現(xiàn)した。黒船來襲である。
海豚はAクラス(小型車)純EVの王者で、元PLUSはAOクラス(コンパクト)の王者だ。この2車種を皮切りに、東南アジア、中東、アフリカ、南米に続き、歐州市場浸透を狙う。記事は、日本車は歐州で利益を挙げているが、ここでも重大な挑戦を受けるはずだとしている。
記事は中國、東南アジア、歐州の3大決戦地で激戦が展開されるだろうとし、これは內(nèi)燃エンジン車を極めた日本とEVの新技術(shù)で挑む中國との世界自動車史に前例のない変化の瞬間だと指摘。そして日本は「失われた30年」以上のものを失うかもしれないと一方的な結(jié)論へ導(dǎo)いている。
米國や歐州の既存メーカーは元気がなく、日中の爭いが「前例のない変化」における焦點なのは間違いない。しかし、このところ世界的にEV優(yōu)遇策が廃止され、目標(biāo)の下方修正が進(jìn)み、トヨタの言う「EVシェアの上限は30%」が現(xiàn)実味を帯びてきた。そうなれば競爭の位相も大きく変化する。失うものが大きいのはどちらになるのか、混沌としてきた。
■筆者プロフィール:高野悠介
1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上?,F(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王國上?!箹|京図書出版會、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。
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