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2024年は「アルゼンチンのトランプ」との異名をとるミレイ新大統(tǒng)領の動向が焦點の一つ。公約である急進的な経済政策や親中路線の転換を実施するのか、內外の注目が集まる。寫真はアルゼンチン大統(tǒng)領官邸。
2024年の中南米では「アルゼンチンのトランプ」との異名をとる同國のミレイ新大統(tǒng)領の動向が焦點の一つ。公約である急進的な経済政策や親中路線の転換を実施するのか、內外の注目が集まる。
ミレイ大統(tǒng)領は12月10日に就任したばかり。早速、その言動に各國マスコミが強い関心を示すのは、內政?外交面の公約がショッキングで常識外れとも受け取れるからだ。「政府省庁の半減」「臓器売買の合法化」はまだしも、中央銀行を廃止し、通貨ペソをなくし、すべて米ドルにするとの主張は內外で物議を醸している。
「こんな過激政策が実施されたら、アルゼンチンは自國の金融政策を放棄し、米連邦準備制度理事會(FRB)の決定に従屬することになる」(ブエノスアイレスの有力エコノミスト)と國內で反対論が広まる。
歐米でも「通貨ペソ廃止には國內で流通するペソを買い集め、ドルと交換する必要があるが、現(xiàn)在のアルゼンチンにはそんな経済力はないはず」(「ウォール?ストリート?ジャーナル」の経済記者)などと、海外の専門家らも非現(xiàn)実的と異を唱える。さらに國際的波紋を広げているのが、「対中関係斷絶」を示唆したミレイ大統(tǒng)領の発言だ。ミレイ氏は選挙戦で「中國政府は暗殺者」「共産主義者とは取引しない」などと叫び、対中非難を繰り返した。
実際、ミレイ氏は大統(tǒng)領就任直前、ワシントンを訪問し親米外交方針を內外に示すとともに、従來のアルゼンチンの親中外交を転換する意向を表明した。フェルナンデス前アルゼンチン大統(tǒng)領は2022年2月に訪中し、習近平國家主席との首脳會談で「一帯一路」構想への參加を表明するなど親中政策を推進、両國関係が緊密化した。中ロなど新興5カ國の「BRICS」へのアルゼンチンの參加が発表されたのもまだ記憶に新しい。ミレイ新大統(tǒng)領が中國離れを進めるのかどうか、習近平政権が大いに気にしていることは想像に難くない。
だが、実は中國と決別しようとしても現(xiàn)実には容易に踏み切れない事情がある。第1にアルゼンチンと中國との強い経済的つながりを指摘できる。アルゼンチンにとって中國は重要な貿易パートナー。アルゼンチン國家統(tǒng)計局の資料によれば、中國は輸入面では最大の相手國、輸出面ではブラジル、歐州連合(EU)に次ぎ3番目である。フェルナンデス前大統(tǒng)領が「一帯一路」構想への參加を表明して以後、中國からの投資や融資に弾みがついた格好。アルゼンチン國內のさまざまな大規(guī)模プロジェクトに今や中國はなくてはならない存在であることは否定できない。
もう一つ、見逃せない點がある。それはアルゼンチンと中國の通貨スワップ協(xié)定だ。アルゼンチンはキルチネル左派政権下の2009年、中國とのスワップ協(xié)定を締結、今年6月には中國人民銀行とアルゼンチン中央銀行の間でアルゼンチンが使用可能な額を倍増する新たな協(xié)定を締結している。アルゼンチンの財政面や債務返済上、中國とのスワップ協(xié)定への依存度がこの數(shù)年格段に増しているといわれる。アルゼンチンは國際通貨基金(IMF)から総額440億ドルの金融支援を受けているが、中國の協(xié)力なしにはIMFへ返済もできなくなる恐れがあるとの見方が有力。年率150%のインフレ、財政赤字拡大、対外債務急増と外貨準備激減という経済危機の中、「今は対中関係を斷つというタイミングではない」(ブエノスアイレス有力紙編集長)との意見はもっともなところだろう。
実際のところ、ミレイ大統(tǒng)領自身も中國の重要性について認識しているようで、政権発足後は厳しい対中批判は控え気味。在ブエノスアイレス外交筋が一部メディアに語ったところによると、ミレイ大統(tǒng)領は最近になって「一つの中國」原則を支持し、両國間の協(xié)力を進める考えを示したほか、習近平主席に対し通貨スワップを求める書簡を送り、電話會談を行う用意がある旨伝えたという。
ただ、ミレイ氏は「リバタリアン(自由至上主義者)」「無政府資本主義者」とも呼ばれるように変幻自在に振る舞う政治家だけに、本當に対中強硬姿勢を変えるつもりなのかは分からないとの見方も多い。果たしてアルゼンチン新政権の外交の行方は?
■筆者プロフィール:山崎真二
山形大客員教授(元教授)、時事総合研究所客員研究員、元時事通信社外信部長、リマ(ペルー)特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。
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