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日本にも飛來する黃砂の発生源は、中國の內(nèi)陸北部からモンゴル、さらには中央アジアに連なる砂漠地帯だ。寫真は中國甘粛省內(nèi)の民勤県での、砂漠の緑化作業(yè)。
日本では春になると時(shí)折、中國大陸から黃砂が飛來する。その正體は極めて細(xì)かい土の粒子なので、室內(nèi)まで土ぼこりっぽくなったりする。干している洗濯物はもちろん、車両や建物も汚れる。しかし、中國の北部地域では、もっとひどい。土の粒子による健康被害も多発する。視界が悪化して交通に支障が出ることも珍しくない。黃砂の直接の原因になるのは、中國北部?jī)?nèi)陸部やモンゴルで発生する砂塵(さじん)嵐と呼ばれる現(xiàn)象だ。植生に乏しくて乾燥した大地が強(qiáng)風(fēng)にさらされることにより、土の粒子が大量に吹き上げられる。砂塵嵐の発生場(chǎng)所では、吸い込んだ土の粒子を気道に詰まらせて、人や家畜が死ぬ場(chǎng)合もあるという。中國林業(yè)科學(xué)研究員の首席科學(xué)者として、土地の狀態(tài)保持や砂漠化の防止を手掛けてきた盧キ博士(「キ」は王へんに「奇」)はこのほど、中國メディアの中國新聞社の取材に応じて、砂塵嵐の現(xiàn)狀や対策、さらに砂漠化防止策について説明した。以下は盧博士の言葉に若干の説明內(nèi)容を追加するなどで再構(gòu)成したものだ。なお、盧博士への取材は2023年4月に行われた。
今年の黃砂現(xiàn)象は過去20年間の3月初頭から4月末までの平均回?cái)?shù)の7.8回を、すでに上回っている。これには、主に3つの原因がある。まず、春の寒気の活動(dòng)が活発であることだ。次に、3月前半の気溫上昇が比較的早く、大気の狀態(tài)を不安定にした。次に、22年の植物が成長(zhǎng)する時(shí)期に、砂塵嵐の発生地における降水が例年よりも1割から4割も少なかった。今年になってからも降水量が平年よりも2割から5割少なく、植生の回復(fù)が遅れて表土がむき出し狀態(tài)だった場(chǎng)所が広い。
砂塵嵐の多発はもちろん、砂漠化に関係している。中國は砂漠化対策でかなり大きな実績(jī)を殘してきた。16年から20年を?qū)澫笃陂gとした第13次5カ年計(jì)畫中は特に顕著で、累計(jì)1097萬8000ヘクタールで砂漠化防止と緑化推進(jìn)を行った?!?022年中國國土緑化狀況公報(bào)」によると、中國は同年通年で383萬ヘクタールの造林、321萬4000ヘクタールの草種改良、184萬7300ヘクタールの砂漠化石漠化土地の整備を?qū)g施した。このような事業(yè)の結(jié)果、森林面積は2億3100萬ヘクタール、森林被覆率は24.02%に達(dá)した。
中國は2000年以降も、一連の生態(tài)修復(fù)プロジェクトを続けている。中國は全世界の緑で、面積にして25%分を貢獻(xiàn)した。國連総會(huì)が15年に採択した、30年までの実現(xiàn)を目指す「持続可能な開発のための2030アジェンダ」も、中國では順調(diào)に推移している。特に劣化した土地の修復(fù)では、狀況が極めて顕著に改善されている。
黃砂は中國北西部、モンゴル南部のゴビ地帯、中央アジアの砂漠地帯一帯の、乾燥して植生が少ないという自然環(huán)境によってもたらされる。しかしこれらの地域の土地の狀況は、長(zhǎng)年に渡る人の活動(dòng)で悪化した側(cè)面も大きい。
中國政府は1978年に、「三北防護(hù)林プロジェクト」を承認(rèn)した。「三北」とは黒竜江、遼寧、吉林の中國東北地方と、北京や天津、河北などを中心とする華北地方、陝西省から新疆ウイグル自治區(qū)にかけての西北地方を指す。
「三北防護(hù)林プロジェクト」の開始は同年11月で、終了は2050年を予定している。しかしこのプロジェクトは黃砂防止の「特効薬」ではない。砂漠化した広大な地域に比べれば植樹面積は小さい。砂塵嵐が発生すれば土の微粒子は1000メートル以上の上空にまで巻き上げられるが、高さが數(shù)メートルから十?dāng)?shù)メートルの樹木で遮ることができるのは、比較的粗い砂粒だけだ。つまり「三北防護(hù)林」が黃砂現(xiàn)象を抑える効果は極めて限定的だ。
ただし、「三北防護(hù)林プロジェクト」によって、現(xiàn)地の生態(tài)環(huán)境は確実に改善される。即効性のある特効薬ではなく、長(zhǎng)期にわたって服用することで體質(zhì)そのものを改善できる薬のようなものと考えればよい。
黃砂現(xiàn)象は昔からある。中國では近年、黃砂現(xiàn)象の回?cái)?shù)が以前に比べれば減少しているが、消滅することはない。中國の約170萬平方キロの砂漠化した土地のうち、改めて植生を出現(xiàn)させられる土地は約50萬平方キロだ。これらの土地については改善を加速すべきだ。その他の120萬平方キロメートル以上は主に原生砂漠なので、砂漠や荒れ地としての保護(hù)と修復(fù)を主とすべきだ。
黃砂は自然現(xiàn)象であり、天然の砂漠が存在する以上、黃砂が消滅することはまず考えられない。黃砂現(xiàn)象が存在することを客観的に受け入れねばならない。しかし、土地の砂漠化は防止することができ、植生を回復(fù)させることもできる。砂漠化した土地に植生を回復(fù)させることは、黃砂現(xiàn)象の回?cái)?shù)を減らし、黃砂現(xiàn)象が発生しても強(qiáng)さを抑えるために有効な手段だ。
中國では砂漠化が抑制される傾向があるが、今も「任重くして道遠(yuǎn)し」の狀態(tài)だ。中國國土の4分の1程度が今も砂漠だ。取り組まねばならない土地は、実に広大だ。そして、対策が後手に回るほど、難度は高くなる。さらに、土地狀態(tài)の改善に逆行する人の活動(dòng)は、今もなお存在する。
砂漠は國境を越えて存在するし、黃砂現(xiàn)象も國境を越えてもたらされる。砂漠化の防止や土地の改善、さらには黃砂現(xiàn)象の抑制には、國際協(xié)力がどうしても必要だ。中國の習(xí)近平國家主席は2022年11月にとモンゴルのフレルスフ大統(tǒng)領(lǐng)大統(tǒng)領(lǐng)と會(huì)談した際に、「モンゴルと共に、中國とモンゴルの砂漠化防止協(xié)力センターを設(shè)立したい」と申し入れた。
両國は今後、同センターの建設(shè)を手を攜えて推進(jìn)しする。同センターは砂漠化防止のための科學(xué)技術(shù)サポート、政策決定支援、シンクタンクサービスを提供することになる。
砂漠化防止は全人類に共通する課題だ。砂漠化は今なお世界の環(huán)境問題と発展の大きな障害であり、生態(tài)の安全と経済や社會(huì)の持続可能な発展を深刻に脅かしている。世界の砂漠化対策ではまず、議定書を制定してあらゆる國が約束を守るようにせねばならない。議定書には、各國の成果を測(cè)定する客観的な「目盛り」も盛り込まねばならない。また全世界を覆う観測(cè)網(wǎng)を構(gòu)築して、土地の狀況変化を把握できるようにせねばならない。一方で、原生の砂漠では本來の姿を維持させねばならない。そのためには「自然砂漠遺産リスト」の策定も必要だ。これらを通じて、全世界が行動(dòng)することで30年には「砂漠化進(jìn)行ゼロ」を?qū)g現(xiàn)させねばならない。(構(gòu)成 / 如月隼人)
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