拡大
これまで3回にわたり、中國のカーボンニュートラル政策とその課題について述べてきた。最後にこれらをまとめて、中國の取るべき道について提言したい。寫真は新エネ車。
これまで3回にわたり、中國のカーボンニュートラル(CN)政策とその課題について述べてきた。最後にこれらをまとめて、CN戦略に関して中國の取るべき道について提言したい。
中國は、國內(nèi)外に様々な課題を抱えていながら、現(xiàn)在も経済成長を続けている大國である。しかし逆に言えば、経済成長を続けているからこそ、國內(nèi)外の課題に対峙していくことができているという言い方もできよう。
中國にとって「発展」を意味する経済成長は、必要不可欠なものである。先進(jìn)國の場合でも経済成長はもちろん必要であるが、例えば日本のように長い間にわたり國の総付加価値(GDP)が増えもせず、またかといって大幅に減りもしないでいる國は、社會が「安定」していて抱える問題も中國に比べたらましだ(読者のご反論はあると思うが)。
さて中國は、経済成長を続けるために國の産業(yè)政策を総動員している。同時にこれまでは発展途上國だったために、輸出や資本投資をたゆまなく増加させて経済成長ができたが、経済の成熟化に伴って、生産性向上やイノベーションなどにより質(zhì)的な成長に移行していく時期にきた。
本稿で取り上げてきた低炭素化社會を目指す「CN化」は、中國が次世代の経済成長エンジンとして狙いを定めている戦略のひとつである。CN化は地球環(huán)境の持続性のためでもあるので、それ自體は理にかなったものである。
しかしこれまでのように特定の成長産業(yè)にターゲットをあててきた政策との大きな違いは、CN化が社會や産業(yè)活動全體を扱うために、経済成長にも資するが同時に成長抑制にもなり得る戦略であることである。
またCN化は、COP(気候変動?xùn)樈M條約締約國會議)などで各國がこれまで目標(biāo)設(shè)定をしてきているが、昨今のウクライナ情勢や新型コロナ問題のために、現(xiàn)在では各國のエネルギー転換計(jì)畫に狂いが生じてきているだろう。
中國の場合も新型コロナ問題で経済成長の未達(dá)が続いたため、2030年までのCO2排出量ピーク化が果たして達(dá)成できるのかなど、情勢は流動的だ。前稿で述べたように従來型経済成長を進(jìn)めれば、CO2排出量は確実に増加するからである。
また中國の自動車産業(yè)の電化(EV化)は、販売量や技術(shù)開発で世界をリードしていることは間違いないが、中國の現(xiàn)市場は參入者が殺到して競爭激化になっており、EV産業(yè)の付加価値や労働生産性はあまり高くなっていない。中國の今のようなEV産業(yè)の狀況では、CN化につながっていくとは言い切れないと思う。
前々稿で示した「茅恒等式」を再度引用してみよう。CN化に向かうためには、この右辺の4項(xiàng)目を減少させていかなければならない。
CO2排出量=「経済成長」×「産業(yè)構(gòu)造」×「排出強(qiáng)度」×「エネルギー消費(fèi)原単位」
中國が経済成長を諦めないのであるなら、國全體が低炭素化(=CN化)に向かうためには、1.「産業(yè)構(gòu)造」の転換、例えば産業(yè)のサービス化、2.「排出強(qiáng)度」の低下、すなわち再生エネルギーへの全面転換、3.「エネルギー消費(fèi)原単位」の低減、すなわち製造業(yè)の省エネルギー化促進(jìn)、の3つが重要になる。
1は、筆者の過去の投稿を見てもらえるとわかるが、日本の1970~90年代と比較すると、中國の産業(yè)構(gòu)造はまだうまく転換ができていない。3の省エネルギー化は、個々のプロセスでは進(jìn)んできたが、製造プロセス全體(例えばゼロエミッション)や工業(yè)園區(qū)全體の省エネルギー化などは、まだ途上である。中國が進(jìn)んでいるのは2のみである。
中國は、第2次産業(yè)の付加価値が大きい「工業(yè)立國」であり、産業(yè)のCN化は「いばらの道」だと言えよう。
■筆者プロフィール:松野豊
大阪市生まれ。京都大學(xué)大學(xué)院衛(wèi)生工學(xué)課程修了後、1981年野村総合研究所入社。環(huán)境政策研究や企業(yè)の技術(shù)戦略、経営システムのコンサルティングに従事。2002年、同社の中國上海法人を設(shè)立し、05年まで総経理(社長)。07年、北京の清華大學(xué)に同社との共同研究センターを設(shè)立して理事?副センター長。 14年間の中國駐在を終えて18年に帰國、日中産業(yè)研究院を設(shè)立し代表取締役(院長)。清華大學(xué)招請専門家、上海交通大學(xué)客員研究員を兼務(wù)。中國の改革?産業(yè)政策等の研究を行い、日中で講演活動やメディアでの記事執(zhí)筆を行っている。主な著書は、『參考と転換-中日産業(yè)政策比較研究』(清華大學(xué)出版社)、『2020年の中國』(東洋経済新報(bào)社)など。
Record China
2023/2/16
Record China
2023/2/16
Record Korea
2023/2/16
松野豊
2022/11/16
松野豊
2022/12/16
松野豊
2023/1/25
ピックアップ
we`re
RecordChina
この記事のコメントを見る