ブラジル次期政権、BRICS外交強化で対中関係進展へ=対米緊張か―安保理改革で日本と連攜も

山崎真二    2022年11月28日(月) 9時40分

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先のブラジル大統(tǒng)領選決選投票で左派の元職ルラ氏が12年ぶりの返り咲きを決めた。來年1月に発足するルラ次期政権はBRICS重視外交を再び推進する方針で、中國との関係をどこまで進めるか注目される。

先のブラジル大統(tǒng)領選決選投票で左派の元職ルラ氏が12年ぶりの返り咲きを決めた。來年1月発足するルラ政権はBRICS重視外交を再び推進する方針で、中國との関係をどこまで進めるのかなど各國が注目している。

◆アルゼンチンのBRICS加盟を積極支援か

ルラ次期大統(tǒng)領は大統(tǒng)領選のさ中から「BRICSの再強化」を叫んできた?!弗毳槭悉螧RICSの顔」(國連高官)とかつて言われたほど、BRICSとは関係が深い。ルラ氏は2003年-2010年の前大統(tǒng)領時代に途上國のリーダーを自負し、2006年のBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中國)の設立に盡力。第1回同首脳會議、その後、南アフリカ共和國も加盟したBRICSの様々な動きの中でリーダーシップを発揮した。決選投票で勝利が判明するや、ルラ氏は「ブラジルは國際舞臺に復帰する」と高らかに宣言した。

「ルラ氏が言うブラジルの國際舞臺への復帰とはBRICS重視の外交を推進し、同時に國際政治の場でブラジルの発言力拡大を目指すことだ」(駐ブラジリア外交筋)と言っていい。ルラ氏のBRICS再強化の具體策の第1弾とささやかれているのが、アルゼンチンの加盟への積極支援である。アルゼンチンは既にBRICSへの正式加盟を申請済み。同國のフェルナンデス大統(tǒng)領はルラ氏當選直後に祝意を示すためブラジル入りし、直接會談している。アルゼンチンのBRICS加盟入りが話し合われたとの憶測が現(xiàn)地では専らだ。農(nóng)業(yè)?資源大國のアルゼンチンが加入すればBRICSの影響力が増すことは確かだろう。

◆親中路線強化なら対米関係は緊張

ルラ氏のBRICS外交の推進で最も注目されるのは、中國との関係である。自他ともに“親中派”と認める同氏が対中接近を強力に進める可能性が指摘されている。ブラジルはルラ氏の前回任期中に政治、外交および経済面で中國との関係が緊密化したことはよく知られている。とりわけ両國の経済的結(jié)び付きが一気に強まり、2009年に中國は米國を抜いてブラジルの最大の貿(mào)易相手國および最大の投資國になった。右派のボルソナロ現(xiàn)政権下で対中警戒感が強まったものの、ブラジルの貿(mào)易?投資分野での中國のプレゼンス拡大が続いている。習近平國家主席はルラ氏に対し當選が判明した直後に祝電を送り、「中國とブラジルの包括的?戦略的パートナーシップを新たな段階へと発展させたい」旨伝えた。

南米への中國の影響力増大を阻止しようとする米國がルラ次期政権の対中政策を気にかけているのは間違いない。バイデン米大統(tǒng)領が當選直後のルラ氏に電話をかけ、二國間協(xié)力を申し出たのもその表れだ。米國の中南米問題の専門家の間では「ルラ外交が2000年代初頭よりも一層親中路線に傾くなら、ブラジルと米國の関係が緊張するのは必至」(米國の中南米シンクタンク「インターアメリカン?ダイアログ」)との聲が聞かれる。

◆安保理改革で日本と連攜も

その一方、中南米の政治學者や外交専門家の中には「外交経験豊富なルラ氏は國際政治における米國の力も熟知しており、対米、対中間のバランスを取るよう努めるだろう」(ペルー?カトリカ大の政治學者)との意見もある。こうした中南米の學者らが注目しているのが、ルラ氏が途上國の聲を反映した新しい國際秩序體制づくりに挑戦する考えを持っていること。同氏は親中路線を取るのが確実視されているとはいえ、米、英、仏、ロシアおよび中國が國連安保理を牛耳っている現(xiàn)狀に強い不満を抱いている。

以前から安保理改革の必要性を力説、2004年には日本、ドイツ、インドとともにG4結(jié)成、常任理事國などの拡大を求めて各國に精力的に働きかけた。ブラジルは今年から任期2年の安保理非常任理事國を務めている。ルラ氏が國連の場でも、日本などと連攜して活発な外交を繰り広げることも予想される。加えてブラジルが2023年12月からG20(主要20カ國?地域)の議長國になる。ルラ氏の外交手腕に一段と世界の目が注がれることになりそうだ。

■筆者プロフィール:山崎真二

山形大客員教授(元教授)、時事総合研究所客員研究員、元時事通信社外信部長、リマ(ペルー)特派員、ニューデリー支局長、ニューヨーク支局長。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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