<ウクライナ危機>歐州、高インフレ背景に厭戦ムードも―戦爭終結(jié)メド立たず、支援正念場

村上直久    2022年11月6日(日) 8時0分

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ロシアのウクライナ侵攻が始まって8カ月が経過したが、歐州連合に大半が加盟する歐州諸國では長引く戦爭が誘発した物価高騰を背景に市民の間で厭戦ムードも目立ってきた。

ロシアウクライナ侵攻が始まって8カ月が経過したが、歐州連合(EU)に大半が加盟する歐州諸國では長引く戦爭が誘発した物価高騰を背景に市民の間で厭戦ムードも目立ってきた。歐州諸國はウクライナへの支援を続けられるのだろうか。正念場を迎えている。

一方、「ロシアは敗退しつつある」(ポーランド政府高官)との見方もあるもののウクライナ戦爭の終結(jié)の見通しは立たない。それでもウクライナの戦後復(fù)興に向けた動きも活発化し、大まかな青寫真も語られるようになった。10月25日には先進7カ國(G7)の今年の議長國ドイツの主催でウクライナ復(fù)興支援に向けた國際會議が開かれた。

◆9月のEUインフレ率10.9%

英國では保守黨のトラス政権がインフレ対策の一環(huán)として大規(guī)模な減稅を打ち出したが、財源の裏付けがあやふやなことを金融市場などに見透かされて早々と退陣に追い込まれたことを受けて、歐州大陸諸國の指導(dǎo)者の間ではインフレと生活水準低下への対応を誤った場合の政治的リスクの怖さを思い知らされた形となった。

歐州諸國はロシアに対する経済制裁ではおおむね足並みをそろえ、特に安価なロシア産化石燃料の輸入停止にも踏み切った。しかし、インフレ高進で歐州市民の間でのムードも変わりつつあるようだ。

米紙ニューヨーク?タイムズは、「ロシアは嫌いだが、もうそろそろウクライナへの軍事支援をやめ、當(dāng)事者間の交渉にシフトする時が來たのではないのか。インフレ下での経済支援を必要とする多くの人々はしびれを切らし始めているのではないか」との一ローマ市民の不満を紹介した。

EU域內(nèi)のインフレ率は9月には10.9%と1年前(3.6%)の3倍以上、過去數(shù)十年間で最高レベルに達した。米英両國の水準も上回った。

イタリアのドラギ前首相(元歐州中央銀行総裁)は9月、國連での演説で「エネルギー?コストの急騰は、景気回復(fù)を危うくし、市民の購買力を制限し、企業(yè)の生産能力に打撃を與えている」と指摘、「我々(西側(cè)諸國)のウクライナへのコミットメントに悪影響を及ぼしている」との見方を示した。

フランスでは各地で物価高騰に反発するストやデモなどの抗議行動が活発化している。これに対してマクロン大統(tǒng)領(lǐng)はウクライナへの連帯の証として経済的苦境を耐え忍ぶよう國民に呼びかけた。ニューヨーク?タイムズによれば、仏國民はロシアによる侵略反対では一致しているものの、ウクライナ支援のために購買力を犠牲にすべきかどうかでは意見が分かれているという。

ドイツでは東部を中心に物価高への怒りを表明する抗議行動が広がっている。ただ、ドイツ政府が2000億ユーロに上る支援パッケージを打ち出したことで、國民の不満は幾分和らいだようだ。一方、バルト三國ではインフレ率は軒並み20%を超えているが、國境を接するロシアからの脅威の度合いが強いせいか、プーチン政権への反対が物価高への抗議に優(yōu)先しているようだ。

◆ウクライナ大統(tǒng)領(lǐng)「將來はEU加盟國」

ウクライナのゼレンスキー大統(tǒng)領(lǐng)はベルリン支援國會議へのビデオメッセージで、「ウクライナはデジタル経済を目指している」との構(gòu)想を明らかにしたうえで、「ウクライナに投資することは將來のEU加盟國に投資することだ」と述べ、ウクライナへの投資拡大を呼びかけた。

ベルリン國際會議では、世界銀行が3490億ドル以上と試算するウクライナの復(fù)興費用を拠出する國際的な枠組みづくりについて各國首脳や國際機関トップが具體策を協(xié)議した。

開催國ドイツのショルツ首相は、開幕演説で、「21世紀の新たなマーシャル?プラン」が必要と強調(diào)。第二次世界大戦後の米國による巨額の歐州復(fù)興支援になぞらえ、巨額の援助への協(xié)力を訴えた。EU歐州委員會のフォンデアライエン委員長は、EUとしては短期的な資金需要の3分の1を拠出する方針で、來年の合計額が約180億ユーロになるとの見通しを示した。

ウクライナ戦爭の長期化に伴い、戦爭がもたらした物価高騰のあおりを受けた歐州市民の間では戦爭を嫌気するムードが広がりつつあるが、一方では、戦後を見據(jù)えた復(fù)興の青寫真も描かれ始めた。

■筆者プロフィール:村上直久

1975年時事通信社入社。UPI通信ニューヨーク本社出向、ブリュッセル特派員、外國経済部次長を経て退職。長岡技術(shù)科學(xué)大學(xué)で常勤で教鞭を執(zhí)った後、退職?,F(xiàn)在、時事総合研究所客員研究員。學(xué)術(shù)博士。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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