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最近つとに臺灣海峽が緊迫の度合いを深めている。寫真は臺北。
最近つとに臺灣海峽が緊迫の度合いを深めている。8月上旬、米國のナンシー?ペロシ下院議長の訪臺を受けて、中國が大規(guī)模な軍事演習(xí)に踏み切ったことから、日本のメディアはこぞって、臺灣への中國の武力行使の可能性が深刻に懸念される事態(tài)となったと報(bào)じるに至っている。
10月16日に開幕された共産黨大會(huì)でも、習(xí)近平國家主席は、異例の國家主席三期目の決定を前に、臺灣統(tǒng)一について、「最大の誠意と努力で平和的統(tǒng)一を?qū)g現(xiàn)するが、決して武力行使の放棄を約束せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を殘す。統(tǒng)一は必ず実現(xiàn)しなければならず、必ず実現(xiàn)できる」(読売新聞による)との強(qiáng)硬な姿勢を示した。このような狀況を背景に、メディアが伝える緊迫の臺灣情勢に関する識者の意見は、(1)中國は臺灣の武力統(tǒng)一に踏み切るか、(2)米國は臺灣を本當(dāng)に防衛(wèi)するか、および(3)日本はどうすべきかの三點(diǎn)を共通のテーマとしている。
◆中國は臺灣の武力統(tǒng)一に踏み切るか
習(xí)近平主席は「決して武力行使の放棄を約束しない」と明言したが、はたして中國は本當(dāng)に臺灣に武力侵攻する意図があるのか、あるとしたら「いつ」か?
目下のところ、2020年代後半にもありうるという見方と、武力による統(tǒng)一の可能性を最後の手段として殘しつつも、習(xí)近平國家主席は可能な限り平和的な統(tǒng)一を目指すとの見方が、識者の間では拮抗している。
前者の見方は、2021年3月に、米インド太平洋軍のデービッドソン司令官(當(dāng)時(shí))が、6年以內(nèi)に中國が臺灣に侵攻する可能性に言及して以來、米軍の関係者からしきりに表明されてきた。他方、後者は、中國問題の専門家に多い説だと言われる。中國は、現(xiàn)在進(jìn)行中のロシアによるウクライナ侵略の事態(tài)の展開と、主として西側(cè)諸國によるロシアに対する制裁の動(dòng)向を注意深く見守っていると見られる。武力による臺灣統(tǒng)一の試みがなされた際に、ロシアのウクライナ侵攻と同様のシナリオが繰り返される可能性は高い。
マイケル?ベックリー米國タフツ大學(xué)準(zhǔn)教授は、今後の5~7年間がおそらく最も危険な時(shí)期になると見る(『中央公論』11月號、「米國は中國を抑止できるか」)。中國が臺灣の「封鎖」や「上陸侵攻」に必要な軍事力の整備を終えるからである。臺灣の國家政策研究基金會(huì)の掲仲(けいちゅう)副研究員は、臺灣海峽危機(jī)が起きる可能性が最も高まるのは、2030年から2035年にかけての時(shí)期と判斷する。その時(shí)期には、中國が速戦即決で臺灣侵攻を遂行する能力が整えられる時(shí)期となるからだ(『文藝春秋』11月號、「臺灣危機(jī)「自衛(wèi)隊(duì)は一緒に戦って」)。
他方、日経新聞コメンテーターの秋田浩之氏は、侵攻リスクを測る基準(zhǔn)としては、中國軍の能力から判斷するよりも、習(xí)近平國家主席の意図を重視しての予測のほうが現(xiàn)時(shí)點(diǎn)では妥當(dāng)と見る(『VOICE』11月號、「臺灣消滅」が招く現(xiàn)秩序の瓦解」)。この観點(diǎn)からは、仮に27年ごろまでに能力を整えたとしても、絶対に成功する確証がなければ、軍事オプションは取れないという見方を支持している。同様に、松田康博東京大學(xué)教授も、現(xiàn)在の中國にとって、臺灣統(tǒng)一の優(yōu)先順位はまだ高くなく、また武力統(tǒng)一の能力も足りないため、むしろ時(shí)間をかけて大軍拡を進(jìn)め、米國が內(nèi)向きになる瞬間を待ってその介入を抑止し、戦わずして臺灣を屈服させる「強(qiáng)制的平和統(tǒng)一」の道を選ぶと推測している(『外交』9?10月號、「ペロシ訪臺で顕在化した臺灣海峽のリスク」)。ただし、松田氏は、臺灣が屈服しなければ武力で統(tǒng)一するという、和戦合一の統(tǒng)一戦略を中國がとると見ており、武力行使の可能性を排除しているわけではない。
◆米國は臺灣を本當(dāng)に防衛(wèi)するか
米國の臺灣に対する防衛(wèi)方針は、1979年の臺灣関係法に基づく「戦略的あいまいさ」を特徴としてきたが、最近に至って、バイデン大統(tǒng)領(lǐng)が、たびたび臺灣防衛(wèi)について踏み込んだ発言を行っているほか、リチャード?ハース米外交問題協(xié)議會(huì)評議會(huì)會(huì)長などの識者から、有事の際の米軍の介入につき、「戦略的明確さ」へと舵を切るべきとの提言も行われつつある。このような中、米上院外交委員會(huì)は、9月14日、臺灣への軍事支援の強(qiáng)化と、中國が臺灣に対し敵対行為に出た場合の対中制裁を盛り込んだ臺灣政策法案を可決した。
一方、米世論は、7月下旬に行われたシカゴ外交問題評議會(huì)の世論調(diào)査によれば、中國が臺灣を侵略した場合、大多數(shù)が外交的、経済的な制裁(76%)や、追加的な武器の提供、臺灣封鎖を阻止するための米海軍の派遣を支持したものの、臺灣防衛(wèi)のために米軍を派兵することを支持したのは、40%にとどまった。これに対し、臺灣の國防部が設(shè)立したシンクタンク「國防安全研究院」が8月中旬に臺灣で行った世論調(diào)査では、中臺戦爭が勃発した場合、米國は派兵して臺灣を助けると思うかとの問いに、回答者の50%が、「派兵する」と答えている。ペロシ米下院議長の訪臺直後でもあり、臺灣の米國への期待が高まっていたと思われる。
マイケル?ベックリー米國タフツ大學(xué)準(zhǔn)教授は、中國による臺灣侵略の際、初動(dòng)の対応を擔(dān)うのは主に米軍と臺灣軍になるが、戦爭が中國による沖縄の米軍基地への攻撃で始まった場合には、米國は日本に単なる後方支援ではなく、中國との戦闘に參加することを求めるだろう、と予測する。同教授は、米國議會(huì)が臺灣を見捨てることよりも、臺灣に過剰な支援を行うというシグナルを中國に送ることのほうが心配であり、このような米議會(huì)の動(dòng)きは、臺灣の獨(dú)立に向けた主張を強(qiáng)める可能性もあるほか、中國政府に軍事的解決を促す契機(jī)となるかもしれないとの懸念を表明している。
ジョゼフ?ナイ?ハーバード大學(xué)教授も、アメリカは臺灣海峽で、中國の武力行使を阻むことと、臺灣の法的な獨(dú)立を阻止するという「二重の抑止」目的を持っており、臺灣が獨(dú)立を宣言したら米軍を派遣する意欲は格段に下がろうが、挑発なしに中國が臺灣に一方的に侵攻すれば、狀況は変わると説明している(『VOICE』11月號、「米國が中臺に効かせる『二重の抑止』)。米軍の臺灣有事への介入時(shí)期について、掲仲(けいちゅう)副研究員は、米軍は最終的には軍事介入すると思うが、すぐには政治的判斷を下せない可能性もあり、そのタイミングが遅れることはあり得ると述べている。米軍が軍事介入に慎重な姿勢を示すかもしれず、適切なタイミングで臺灣が米國から中分な支援を受けられない懸念があると指摘している。
◆日本はどうすべきか
日本政府は、臺灣をめぐる問題は中臺間の直接の話し合いを通じての平和的な解決を期待するとの公の立場を変えてはいない。しかし、昨年12月に安倍元首相が「臺灣有事は日本有事であり、日米同盟の有事である」と講演會(huì)で発言したように、臺灣有事は日本にとっても有事となるとの一般的認(rèn)識は広がっている?,F(xiàn)に、日本経済新聞が8月上旬に行った世論調(diào)査によれば、中國と臺灣が軍事衝突した場合に日本が巻き込まれる可能性について「恐れを感じる」との回答が、81パーセントにも達(dá)した。同紙は、8月上旬の中國の大規(guī)模な軍事演習(xí)では、5発の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に落下しており、政府や自民黨で、臺灣有事が日本有事につながるとの危機(jī)感が高まったと報(bào)じた。このように、日本での臺灣危機(jī)への見方は、日本も「紛爭に巻き込まれる」可能性を懸念する聲が主流で、このため、後方支援や在留邦人保護(hù)などの危機(jī)対応を準(zhǔn)備しておくべきとの議論が多い。これまでのところ、日本國憲法の制約もあり、日本自體の自衛(wèi)の範(fàn)囲を超えて、臺灣防衛(wèi)に日本も関與すべしとの議論は少ない。
◆日本の防衛(wèi)力強(qiáng)化を求める聲、內(nèi)外から増大
松田康博東京大學(xué)教授は、習(xí)近平の「強(qiáng)制的な平和統(tǒng)一」を単なるスローガンに変質(zhì)させることが大事であり、このため、臺灣の國防力強(qiáng)化や日本の防衛(wèi)力の抜本的強(qiáng)化が必要であり、中國の動(dòng)きを注視し、次にやろうとしていることを予防的に無効化することを訴える。習(xí)近平の次の指導(dǎo)者は、政治的混亂と経済的停滯に直面し、身動(dòng)きできなくなっているはずであり、それまでの時(shí)間を稼ぐのが大事と主張している。
ジョゼフ?ナイ教授も、日本が今進(jìn)めている軍事増強(qiáng)の動(dòng)きをさらに加速すべきで、日米が同盟関係において効果的に協(xié)力して行動(dòng)していると中國に認(rèn)識させることが、最大の抑止力になると力説している。佐藤正久參議院議員(前自民黨外交部會(huì)長)は、10月8日付のニッポンドットコムとのインタビュー記事で、臺灣有事の際の邦人保護(hù)あるいは第三國の國民保護(hù)といった點(diǎn)につき、日米両政府と臺灣政府との間で事前調(diào)整をしておくことが必要と強(qiáng)調(diào)している。ウクライナの人々がポーランド経由で第三國へ避難したように、臺灣有事では、避難する人々が日本経由で第三國へ移動(dòng)することになると予測する。臺灣有事を未然に防ぐ外交について佐藤氏は、日、米、豪、加、英、仏などの自由主義陣営の総和が中國の臺灣進(jìn)攻能力や軍事力を上回る體制を整えておく必要があると強(qiáng)調(diào)している。*
本年末までに日本の防衛(wèi)政策につき、安全保障三文書(國家安全保障戦略、防衛(wèi)大綱、および中期防衛(wèi)力整備計(jì)畫)の改定が行われることが予定されており、臺灣有事の際の日本の対応についても含まれることが予想される。北岡伸一東京大學(xué)名譽(yù)教授は、ニッポンドットコムへの記事で、日本の安全保障環(huán)境は切迫さを増しており、三文書改正にエネルギーを割くよりも、臺灣有事の際の米國との事前協(xié)議や在留日本人の避難などの目の前の課題を?qū)g行可能にすることが急務(wù)だと訴えている(9月6日付ニッポンドットコム、「日本が抱える安全保障?防衛(wèi)政策の課題―三文書の改正をめぐって」)。このように、臺灣に向けた中國の動(dòng)きをにらみつつ、有事の際の日本の対応について、今後日本國內(nèi)での議論がますます活発化することが予想される。
■筆者プロフィール:赤阪清隆
公益財(cái)団法人ニッポンドットコム理事長。京都大學(xué)、ケンブリッジ大學(xué)卒。外務(wù)省國際社會(huì)協(xié)力部審議官ほか。経済協(xié)力開発機(jī)構(gòu)(OECD)事務(wù)次長、國連事務(wù)次長、フォーリン?プレスセンター理事長等を歴任。2022年6月から現(xiàn)職。
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