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目下日本のメディアは、宗教、特に舊統(tǒng)一教會(世界平和統(tǒng)一家庭連合)を含むいわゆる新興宗教と政治の関係を、大々的に論じている。
目下日本のメディアは、宗教、特に舊統(tǒng)一教會(世界平和統(tǒng)一家庭連合)を含むいわゆる新興宗教と政治の関係を、大々的に論じている。きっかけは、安倍晉三元首相の銃撃犯人が、彼の家族を破滅に陥らせた主因ととらえた舊統(tǒng)一教會を安倍氏が支援していたという理由で犯罪に至った経緯にある。
この問題に関する世論の関心と批判の高まりを受けて、自民黨は、9月8日、黨所屬國會議員と舊統(tǒng)一教會や関連団體との関係について點検結(jié)果を公表した。それによると、衆(zhòng)參両院議長を除く379名の議員中、179人の接點があり、議員本人が関連団體の會合に出席してあいさつをするなど「一定の関係」があったとして氏名が公表された議員は、121人にものぼった。
周知のとおり、日本における宗教と政治の関係は、第二次大戦後、大きく変化した。日本を占領(lǐng)したGHQ(連合國軍総司令部)は、日本の軍國主義が、天皇に対する神としての崇拝と國家神道と深くかかわっていたとの認識から、政治と宗教との分離を図る様々な措置をとった。そして、新たに作成された日本國憲法では、信教の自由と國の宗教活動の禁止が明示的に規(guī)定された(憲法第20條)。これによって、國民は信教の自由を保障され、國は特定の宗教団體を支援する活動をしてはならないことになったが、他方、宗教団體の側(cè)が政治的な活動や選挙にかかわることまで禁止されたわけではない。
それゆえに、戦後成長を遂げた新興宗教の多くは、自前の政治団體を作り、選挙に候補者を立てるか、あるいは既存政黨の候補者を支援する形で、政治との関與を深めてきた。政治參加を基本的に否定する新興宗教もあるが、多くの教団は、右派や保守政治家への接近を図ってきているのが見て取れる。また、舊統(tǒng)一教會のように、大きな社會問題を起こして、政治問題化するケースも數(shù)多い。
日本の宗教を考える場合、キリスト教、イスラム教などの宗教と大いに異なるところは、信仰がさほど重視されない點だと言われる。NHK放送文化研究所が2018年に行った調(diào)査では、「信仰している宗教はない」と答えた人は62%にものぼっている。それにもかかわらず、多くの新興宗教が存在しているし、また、元旦には初もうで大勢の人々が神社參拝に出かけ、年中行事、冠婚葬祭や日々の慣行の中に多くの宗教とのかかわりを観察することができる。
なぜ政治と宗教は癒著するのかについては、宗教問題に詳しい識者は、政治家にとっては、數(shù)としてはそれほどでなくても、宗教団體からの票の支援は、非常に固く確実であるため、安心感があると指摘する。集票マシーンとして強力な力を誇る宗教団體もある。また、宗教団體からの票數(shù)は落ちていても、小選挙區(qū)制と低投票率によって、政治的影響力がかえって高まった可能性もある。他方、宗教団體側(cè)にとっては、一種の広告塔として政治家を利用している場合や、「保険」としてシンパを増やしたい目論見もあろう。さらに、伝道や教化活動の正當化に加えて、霊感商法や社會問題を重ねていく過程において、世間からの批判から組織を守ってもらうという動機も考えられる。
日本人が一定程度は宗教とのかかわりを持っているにもかかわらず、それに無自覚であるという実態(tài)と意識の乖離は、日本社會の宗教に対する脆弱性の一員となっていると指摘する識者も多い。島薗進日本宗教學會元會長(東京大名譽教授)は、9月15日付の日経新聞のインタビュー記事で、宗教について無関心な政治家が、教義や世界観にあまり頓著せずに、選挙に協(xié)力してもらえるからという実利面から関係を結(jié)ぶといった姿勢が、結(jié)果的に、社會的にさほどの支持も得られていない宗教団體が大きな影響力を持ち、國民生活にも累を及ぼす一因になったと語っている。同氏は、戦後の日本では、一般教養(yǎng)の中で宗教が占めている地位は非常に低く、あまりにも宗教を軽視してきたことを反省すべき時に來ている、と述べている。
戦後日本の新興宗教の多くは、目指す理想社會の実現(xiàn)のために広く社會に働きかけ、さまざまな社會活動や政治活動に參加しており、宗教団體がこのように政治とかかわりを持つこと自體については、否定する意見は少ない。むしろ、宗教団體が何らかの政治観を持ち、より良き社會の実現(xiàn)に向けて活動し、政黨がそのような考えを政策に反映することについては、これを肯定的にみる向きが一般的である。
しかし、そのような宗教団體と政治とのかかわり方にあって、戦後韓國で文鮮明が創(chuàng)始したキリスト教系新宗教である舊統(tǒng)一教會は、他の宗教団體とは異なる特異な性格を有している。特に、その霊感商法や強要的獻金については、多くの訴訟が提起され、その責任を認めた民事訴訟判決が數(shù)多くある。舊統(tǒng)一教會の特性については、多くの新聞、雑誌記事が取り上げているが、外來のキリスト教系新宗教であること、反共?勝共という政治性、霊感商法?強要的獻金などが主に論じられている。
舊統(tǒng)一教會と自民黨議員との関係が次々に明るみになるにつれ、メディアや野黨の関心と批判が高まったことから、政府および自民黨も対応を迫られるに至った。岸田首相は、8月31日の記者會見で、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければならないが、宗教団體であっても関係法令を遵守しなければならないのは當然である一方、政治家側(cè)には、社會的に問題がある団體との付き合いには厳格な慎重さが求められるとして、同政権は舊統(tǒng)一教會との関係を斷つと明言した。
また、自民黨総裁として、茂木幹事長に対し、自民黨所屬議員を?qū)澫螭伺f統(tǒng)一教會との関係を點検し結(jié)果を公表すること、所屬國會議員は同団體との関係を斷つことを黨の基本方針として徹底すること、および、自民黨におけるコンプライアンスチェック體制を強化することを指示したとし、霊感商法等の被害者の救済には全力で取り組むと表明した。なお、安倍元首相と舊統(tǒng)一教會との関係については、9月8日の衆(zhòng)院閉會中審査で、実態(tài)把握には限界があるとして調(diào)査しない方針を明らかにした。
今回の舊統(tǒng)一教會をめぐる様々な議論は、日ごろの宗教に対する考えや特定宗教団體とのかかわり方を見直す良い機會を提供していると言える。ものごとに白黒をはっきりとつける西歐合理主義的な考え方とは違って、日本人のものの考え方には、あいまいで灰色の部分を殘すことが多く、また、そこに日本ならではの価値やメリットを見出す向きもあろう。いずれにせよ、ことわざにも、無知ほど怖いものはないという。宗教と政治について、さらに議論が深まることを期待したい。
■筆者プロフィール:赤阪清隆
公益財団法人ニッポンドットコム理事長。京都大學、ケンブリッジ大學卒。外務(wù)省國際社會協(xié)力部審議官ほか。経済協(xié)力開発機構(gòu)(OECD)事務(wù)次長、國連事務(wù)次長、フォーリン?プレスセンター理事長等を歴任。2022年6月から現(xiàn)職。
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