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過去半世紀(jì)を経て、船の世界はアナログからデジタルへ様変わりし、安全性、効率性、信頼性の向上は乗組員を半減させた。この先、さらなる技術(shù)革新によって船の無人化は実現(xiàn)するのか?
過去半世紀(jì)を経て、船の世界はアナログからデジタルへ様変わりし、安全性、効率性、信頼性の向上は乗組員を半減させた。この先、さらなる技術(shù)革新によって船の無人化は実現(xiàn)するのか? 海という自然にひそむ予測不能のリスクを認(rèn)識し、人類を育んできた海という自然に対する謙虛さを失わず、技術(shù)革新に取り組むことを願う。
星や太陽の観測で船の位置を知り、モールス信號で情報を交換、暑ければ涼を求めて大空の星を眺めながらデッキで眠る。
これは筆者が新入りの航海士として船に乗り組んだころの外航商船のすがたである。それから半世紀(jì)余の現(xiàn)代の船は、スマホと同じように世界のどこの海にいようがいつでも誤差なく位置がわかり、衛(wèi)星経由でインターネットがつながり、乗組員は冷暖房完備の個室で毎日シャワーを浴びる。
技術(shù)革新の船舶への導(dǎo)入は、陸上より少し遅れたが、船の3つの機能の部分で急速にすすんできた。
◆衛(wèi)星経由のICT技術(shù)を駆使した航海計器、通信システム
ひとつは衛(wèi)星経由のICT技術(shù)をつかった航海計器、通信システムの革新である。陸上と同じくすべての機器?システムがアナログからデジタルへ。船の操縦席であるブリッジ(船橋)はさながら空の管制センターのごとく、処せましと青白い光を放つ電子機器がならび、乗組員がこれらの機器をしずかに監(jiān)視しながら粛々と船を進(jìn)める。
昔はブリッジでの航海士の仕事といえば肉眼による船の周囲の監(jiān)視とともに陸上が見えればコンパスを覗き、海しかなければ六分儀による天測で、テーブル上の海図に自船の位置を書き込みながら忙しくたち働くというのが相場だった。様変わりである。
もうひとつは、船の心臓部ともいえる機関室への技術(shù)革新の導(dǎo)入だ。巨大な重量のある船體を進(jìn)めるエンジンも付隨する種々の機器もふくめて巨大なプラント。船體の動揺やアスファルトに近い低質(zhì)油を燃料として使うなど厳しい條件での運転は、機関室で働く乗組員に肉體的にも精神的にも過酷な負(fù)擔(dān)をかけてきた歴史がある。汗まみれ、油まみれがかつての機関部の乗組員のすがたである。
◆全體制御がシステム化、船員居住環(huán)境が向上
航海系と並行してコンピュータによる制御技術(shù)の導(dǎo)入で、エンジンそのものの信頼性の向上や効率化とともにプラント全體制御のシステム化がはかられ、いまや機関部乗組員の主たる仕事はエアコンの効いたコントロームルームでの監(jiān)視作業(yè)となった。まさに巨大プラントの保守管理に當(dāng)たるテクニカルエンジニアである。
さらにひとつは、居住環(huán)境、船員にとっての社會環(huán)境の革新だ。より豊かな生活への願望は船にもおよび、船の大型化とともに乗組員の居住區(qū)畫には個室のスペースが確保され、仕様の規(guī)格化によりビジネスホテル並みの設(shè)備が整えられていった。 さらには、乗船中は社會からの隔離を余儀なくされる船員にとって、家族や友人とのコミュニケーションが衛(wèi)星経由のインターネット通信で容易になったことは船員の社會環(huán)境にとって革新的な出來事だ。(問題は通信料金が高額のことであるが)
こうした技術(shù)革新が船にもたらしたものは、運航の安全性、効率性、信頼性の飛躍的向上と乗組員の労働環(huán)境、生活環(huán)境の改善であるが、一方で一船に乗り組む船員の數(shù)は半世紀(jì)前の40~50名から半減し、30萬トンの原油タンカー、2萬個積みの巨大コンテナ船でも25名程度で運航が可能となった。
いま船舶の世界でも自動運航、自律運航の研究がすすめられているが、はたしてこのさき行きつくところ、船の無人化は実現(xiàn)可能だろうか?
◆歐州では「無人フェリーボート」を運航
すでに歐州海域の限られた條件下で無人化されたフェリーボートが運航されている事実もあり、今後は陸上からの監(jiān)視や制御技術(shù)と相まってICTやIoT、AIのさらなる導(dǎo)入により、物理的な船の無人化の可能性は拡大していくだろう。
しかし、筆者が経験した海という自然の脅威、予測不能の変化、不可知さは人間の想像を超えたものがあり、はたして人間はそこに潛むリスクを克服できるのか? さらに海上を利用する船は大小さまざま、用途も性能もまちまちなまま、おなじ2次元の海上に混在するという複雑な條件下で、これを一律にコントロールする運航システムが実現(xiàn)できるのか?
限られた條件のもと、限られた船による、限られたた水域での無人化は予測可能としても、世界の海を無人船が走り回るシュールな未來はなかなか簡単には畫けない。
いまだに船員の訓(xùn)練には、アナログの象徴のような帆船が使われている。人類はいにしえより海とともにあり、海という自然から學(xué)ぶことが人間の成長につながるとの考えは消し難くいまもある。
人知を超える海という自然の存在、そして海という自然に學(xué)び、育まれてきた人間。
海に対する謙虛さを失わず、技術(shù)革新に取り組んでいって欲しいと願う。
■筆者プロフィール:山本勝
1944年靜岡市生まれ。東京商船大學(xué)航??谱?、日本郵船入社。同社船長を経て2002年(代表)専務(wù)取締役。退任後JAMSTEC(海洋研究開発機構(gòu))の海洋研究船「みらい」「ちきゅう」の運航に攜わる。一般社団法人海洋會の會長を経て現(xiàn)在同相談役?,F(xiàn)役時代南極を除く世界各地の海域、水路、港を巡り見聞を広める。
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