中國のソーシャルメディア、豆瓣（douban）がこのほど、映畫トップ250年度データ報(bào)告を発表した。同メディアは日本人にはあまり知られていないが、中國の若者に極めて大きな影響力を持っている。開設(shè)は2005年で、12年の1日平均のページビュー（PV）は1億6000萬PV、13年のユーザー數(shù)は2億人に達(dá)した。調(diào)査によると、ユーザー全體の60％が女性で、20～35歳が約70％を占めている。また、高等教育を受けたユーザーは半數(shù)以上に上る。

豆瓣の中心的機(jī)能は書籍セクション、音楽セクション、映畫セクションに分かれ、ユーザーは書籍や音楽、映畫についてコメントや採點(diǎn)をすることができる。影響力が巨大であるため、評(píng)価の高低は書籍の販売や映畫の興行収入に直結(jié)する。通常、映畫の點(diǎn)數(shù)ランキングの上位250位に入るのは世界各國の最も代表的な作品だ。10點(diǎn)満點(diǎn)で、上位250作品の平均得點(diǎn)は8．9點(diǎn)となっている。

以前、伏原健之監(jiān)督のドキュメンタリー映畫「人生フルーツ」は9．5點(diǎn)、小津安二郎監(jiān)督の「東京物語」も9．2點(diǎn)と、両者とも長期にわたって「トップ250」內(nèi)にあり続けたが、21年度は殘念ながらいずれもランク外となった。

豆瓣の映畫評(píng)論家によると、2作品がランキングに入らなかった原因は日中関係の悪化と直接関係している。近年、両國関係が悪化し、「『人生フルーツ』の主人公?津端修一氏は若い頃、日本軍の戦艦の技術(shù)工で、『東京物語』の小津安二郎監(jiān)督は中國を侵略した日本軍だった」との指摘が寄せられたという。これが多くのネットユーザーを動(dòng)かし、2作品には「1點(diǎn)」という低い點(diǎn)數(shù)が付けられた。そして21年8月22日、これら名作は瞬く間にランキングから消えた。

これに巻き込まれて順位を大きく下げた日本映畫には「リトル?フォレスト冬?春」（108位から121位へと13位後退）や「風(fēng)の谷のナウシカ」（148位から163位へと15位後退）、「火垂るの墓」（176位から191位へと15位後退）があり、映畫評(píng)論家は「映畫を見ていない一部の観客が過激な言論に誘導(dǎo)されて極端な評(píng)価を軽率にしたことがランキングに大きな変化をもたらしたことは、率直に言って道理に合っていない。優(yōu)れた映畫はわれわれ人類共通の財(cái)産であり、このような低評(píng)価運(yùn)動(dòng)で傷付けてはならない」との考えを示す。

ただ、もちろん例外もあり、ランキングに入った日本映畫も存在する。その中の一つが宮崎駿監(jiān)督の「崖の上のポニョ」で、新型コロナウイルスの流行期間に中國の映畫館で上映されたことがプラスの影響をもたらした。この他、巨匠の故?今敏監(jiān)督の代表作「千年女優(yōu)」も中國での上映で新たな活気を放つこととなり、この作品のランクインはいずれも9．0點(diǎn)の「パーフェクトブルー」（1997年）、「東京ゴッドファーザーズ」（2003年）、「パプリカ」（2006年）と8．8點(diǎn)の「千年女優(yōu)」（2001年）という同監(jiān)督の長編4作品が豆瓣映畫トップ250に入ったことを意味し、ユーザーの作品に対する愛情の深まりもうかがえる。

現(xiàn)在、豆瓣の映畫ランキングで最も評(píng)価が高い10作品は、「ショーシャンクの空に」（9．7點(diǎn)）、「さらば、わが愛/覇王別姫」（9．6點(diǎn)）、「フォレスト?ガンプ/一期一會(huì)」（9．5點(diǎn)）、「タイタニック」（9．4點(diǎn)）、「レオン」（9．4點(diǎn)）、「ライフ?イズ?ビューティフル」（9．6點(diǎn)）、「千と千尋の神隠し」（9．4點(diǎn)）、「シンドラーのリスト」（9．5點(diǎn)）、「インセプション」（9．3點(diǎn)）、「HACHI 約束の犬」（9．4點(diǎn)）となっている。（RR）