中國の政治経済の変容をどう見るか(2)教育?娯楽産業(yè)などの統(tǒng)制

松野豊    2021年12月17日(金) 19時50分

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中國の教育や娯楽産業(yè)の規(guī)制の背景には、教育コストの増大が少子化を招いていることや、一部の蕓能活動やオンラインゲームが社會の群集心理を煽って社會不安に結(jié)びつく可能性があるなどが言われている。資料寫真。

前稿では、中國が國內(nèi)に様々な課題を抱えているために當(dāng)面は持続的経済成長が必要であること、そのために中國政府が創(chuàng)造性豊かな民間ITサービス業(yè)界に介入しようとしていることへの疑問について言及した。本稿では、教育や娯楽産業(yè)への統(tǒng)制を取り上げる。

中國政府は2021年7月、「義務(wù)教育學(xué)生の宿題及び課外教育負(fù)擔(dān)の軽減促進に関する指導(dǎo)意見」を発表した。この中では小中學(xué)生の宿題時間、學(xué)習(xí)塾の非営利団體化や非上場化、外資の學(xué)習(xí)塾參入禁止や外國教材の使用禁止、オンライン學(xué)習(xí)塾の時間制限等々が細(xì)かに規(guī)定されており、中國の學(xué)習(xí)塾業(yè)界は突然存立の危機に立たされた。

またこれに引き続き、同年8月にはさらに蕓能界やゲーム業(yè)界への規(guī)制も発表され、蕓能人のファン投票や投げ銭などの行為、オンラインゲームの提供時間など政治とはあまり関係のない社會活動にも規(guī)制が入り、一部の蕓能人は當(dāng)局に摘発されたりしている。

こうした規(guī)制の背景としては、教育コストの増大が少子化を招いていることや、一部の蕓能活動やオンラインゲームが社會の群集心理を煽って社會不安に結(jié)びつく可能性がある等々が言われている。

中國が社會主義體制の國家であることを再認(rèn)識してみれば、これらの規(guī)制はさもありなんといったところだ。しかし現(xiàn)在の中國のGDPにおいて無視できない割合を占めている産業(yè)に対して、このような唐突なタイミングで規(guī)制をするのにはそれなりの理由があるはずだ。

前稿でも述べたように、中國は世界が羨むほどの経済成長を続けている一方で、國內(nèi)にも様々な問題が山積しており、そのためここ當(dāng)分は過去と同様の経済成長を必要としている。そのため中國の指導(dǎo)者たちは、今後の持続的経済成長を阻害するような要因があるなら何としても斷ち切っていかなければならないと考えているのであろう。

現(xiàn)在の中國において経済成長の阻害要因として最も重要なものは、中國社會全體に蔓延している「社會格差」であろう。経済學(xué)において所得格差は、內(nèi)需の拡大を妨げる要因であると考えられているし、一方社會學(xué)の世界で言えば、こうした格差は社會の不安定化の大きな震源となりうる。そう考えれば、中國政府が教育や娯楽産業(yè)の規(guī)制に舵を切ったことには合點がいく。

中國の最近のもうひとつの政策として注目されるのは、「共同富裕」という政策スローガンである。尤もこの言葉自體は過去の指導(dǎo)者も使っていたものだし、以前の五か年計畫においても提示されたことがあるので、今新しく提起された概念ではない。

しかし現(xiàn)政権は、共同富裕という言葉を「所得分配適正化」という概念と一緒に提示し始めている??激à皮撙欷?、社會格差を生まないためには給與などの第一次所得分配後に行う第二次所得分配、すなわち社會保障費徴収や稅制度の実効性が極めて重要である?,F(xiàn)に世界の資本主義國では、第二次所得分配の効果や公平性には常に心血を注いでいる。

中國では、この第二次所得分配の実効度がまだまだ不十分である。よく言われているように、中國には相続稅や贈與稅に類するものがなく、固定資産稅もようやく著手されたばかりである。そこで現(xiàn)政権は、第二次分配をさておいて共同富裕の名のもとに所得の第三次分配に言及し始めているのだ。

第三次所得分配は、先進資本主義國では國家の経済政策として取り上げられることはあまりない。しかし中國では、個人や団體の自発的な寄付などによって大企業(yè)や富裕層に富の還元を求めることを指すようだ。中國は、経済成長を持続させるための社會格差解消のために、第二次所得分配としての稅制の拡充や徴稅力強化だけでなく、第三次分配を半ば強要していこうとしているようにも見える。

しかし経済大國である中國の場合、第三次分配を強力に進めても社會格差解消に対する貢獻度はあまり大きなものにはならないだろう。中國政府の第三次分配への言及は、経済効果よりも共同富裕の再認(rèn)識や社會不安定化防止という文脈のなかで理解した方がよいだろう。

しかし教育、蕓能、ゲームなどの社會活動が生み出す付加価値は、中國にとっては既にGDPの重要な一部になっていることには留意すべきである。第一次所得分配を主導(dǎo)するのは企業(yè)や市場であり、第二次所得分配の主導(dǎo)者は政府である。しかし第三次所得分配の擔(dān)い手は成功した企業(yè)家や富裕層などであり、彼らは今や中國の経済成長の重要な擔(dān)い手なのである。

政治やイデオロギーはともかく、成長意欲のある社會活動家を必要以上に抑圧すると、所得分配という問題どころではなくなり、経済成長の源泉である経済活動による付加価値が低下してしまう可能性が大きい。経済成長のための社會安定化政策が、逆に重要な経済成長要因の一部を阻害してしまうという矛盾をはらんでいるとも言えそうだ。

■筆者プロフィール:松野豊

大阪市生まれ。京都大學(xué)大學(xué)院衛(wèi)生工學(xué)課程修了後、1981年野村総合研究所入社。環(huán)境政策研究や企業(yè)の技術(shù)戦略、経営システムのコンサルティングに従事。2002年、同社の中國上海法人を設(shè)立し、05年まで総経理(社長)。07年、北京の清華大學(xué)に同社との共同研究センターを設(shè)立して理事?副センター長。 14年間の中國駐在を終えて18年に帰國、日中産業(yè)研究院を設(shè)立し代表取締役(院長)。清華大學(xué)招請専門家、上海交通大學(xué)客員研究員を兼務(wù)。中國の改革?産業(yè)政策等の研究を行い、日中で講演活動やメディアでの記事執(zhí)筆を行っている。主な著書は、『參考と転換-中日産業(yè)政策比較研究』(清華大學(xué)出版社)、『2020年の中國』(東洋経済新報社)など。

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