立石信雄 2021年9月26日(日) 7時0分
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日米豪印4カ國(Quad)首脳會談がワシントンで開催され、米英豪による新たな軍事協(xié)力の枠組み「AUKUS」の創(chuàng)設(shè)も発表された。寫真は首相官邸Facebookより
日米豪印4カ國(クアッド)首脳會談がワシントンで開催され、米英豪による新たな軍事協(xié)力の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創(chuàng)設(shè)も発表された。米國が「世界の警察官」だった時代は終わり、中國の急速な臺頭を前に世界の秩序をどう構(gòu)築するのか-。その試みが、これら「ブロック化」「囲い込み」の背景になっているようだが、立ち止まって冷靜に考える必要がありそうだ。
米中間の貿(mào)易戦爭や次代覇権爭いが激化している?!该抓嚼鋺椤工K了したベルリンの壁の崩壊(1989年11月)から30年以上が経過した今、今度は米國と中國の間の緊張が高まり、世界には再び地政學的な境界線が誕生しつつある。
中國の経済的、政治的な影響力はアジアの勢力圏を越え、遠く中南米や西歐諸國など、かつては當然のように米國の勢力圏と考えられてきた地域にまで及んでいる。米國は、中國の「一帯一路」構(gòu)想が成功すれば、世界の多くの國々が中國との緊密な関係を深めると警戒している。
世界の覇権國家として長らく君臨してきた米國は、常に「ナンバー1」の座確保が“國是”であり、「ナンバー2」國家を“排除”してきた。かつての標的はソ連の軍事力であり、日本の経済力だったが、これらライバル國をことごとく退けた。今は臺頭する中國をターゲットとしているが、その「経済?人口パワー」に手を焼いているのが実情だ。
◆ブロック化が招いた悲慘な歴史
米中の対立は次代の覇権爭いの様相を呈し、厳しい攻防が続いており、世界経済の低迷に拍車をかけている。特に懸念されるのは「世界のブロック化」と軍事同盟だ。保護主義の蔓延が誘導するブロック化の危険性は歴史が証明している。
1929年に米國に端を発した世界大恐慌を受けて米國が30年代に実施した貿(mào)易戦爭により、全世界の貿(mào)易は66%萎縮。米國が関稅率を引き上げ他の國も対抗、全世界の貿(mào)易コストが10%上昇した。さらに主要國は相次いで「ブロック経済」政策を採用。英國によるポンド圏、フランスによるフラン圏、さらに米國のドル圏などの、貿(mào)易の「囲い込み」現(xiàn)象が出現(xiàn)した。
世界経済がブロックに分割されたことにより、ドイツやイタリア、日本など植民地を持たないか少ない國は不況の影響をより深刻に受けることになった。その結(jié)果、イタリアやドイツではファシスト、ナチス、日本では軍部など、「世界秩序の変更」を求める勢力が臺頭し、第2次世界大戦の引き金になった。戦後の自由貿(mào)易體制の構(gòu)築は、「ブロック経済への反省」の結(jié)果実現(xiàn)した。ブロック化が進行すれば、特に資源が乏しく貿(mào)易投資立國の日本は大きな影響を受ける。
◆「中國と冷戦せず」バイデン発言を歓迎
筆者はこのまま世界経済がブロック化すれば自由で開かれたグローバル経済システムが阻害されるのではと懸念している。技術(shù)覇権の問題は関稅の引き上げとは違った類いの爭いであり、日米経済摩擦の際には、米國はこの種の過激な手段を何度も打ち、日本経済は弱體化した。今バイデン政権は中國に対し「唯一の競爭相手」と指摘し、次々に対中対抗策を仕掛けているが、同國の人口パワーとしたたかな戦略の前に奏功していない。米國経済の衰退が加速する中で、「同盟國重視」を打ち出し「ブロック化」を促進する動きを見せている。
このまま「米國を取るか中國を取るか」と選択を迫ることになれば、世界の分斷が進むと危懼する東南アジア、中南米、アフリカ、中東諸國は多いと聞く。米中の覇権爭いが続けば、相互依存が進んだグローバル経済を分斷し、世界全體を経済危機に巻き込む恐れがある。米ソ冷戦は歐州の核危機など軍事的緊張をもたらしたが、世界経済への影響は限定的だった。しかし世界1、2位の経済大國が安全保障もからむハイテク覇権を爭う新冷戦は、世界経済を直撃、冷戦終結(jié)によるグローバル経済化で網(wǎng)羅されたサプライチェーンなど、相互依存を寸斷することになる。
こうした中、バイデン大統(tǒng)領(lǐng)が先週、「中國と冷戦をするつもりはない」と米中対立を緩和させる方針を打ち出したことは心強い。気候変動問題やコロナ感染対策などを手始めに米中対立が解消に向かえば、対中貿(mào)易投資に大きく依存する日本経済界にとって大歓迎である。
◆TPPとRCEP融合した「スーパーFTA」構(gòu)築を
こうした激動の世界情勢の中で、日本の役割は重要である。最大の同盟國である米國と最大の貿(mào)易相手國である中國の間で橋渡し役を擔うべきである。対立する米中間も貿(mào)易?投資?サプライチェーン(産業(yè)連関)網(wǎng)が張りめぐらされ、相互依存関係にあり、互いの経済界がブロック化を強く懸念している。
日本がめざすべきはアジア太平洋融合の枠組みだ。環(huán)太平洋経済連攜協(xié)定(TPP)と東アジア地域包括的経済連攜(RCEP)を結(jié)合して「スーパーFTA(自由貿(mào)易協(xié)定)」をつくり、米國を呼び込むことである。分斷ではなく融合こそ共通目標である。新冷戦やブロック化を抑止し、世界経済の再興に向け各國が総力を挙げることが最優(yōu)先課題である。
<直言篇174>
■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任?!弗蕙庭弗幞螗趣?a target='_blank' href='http://www.wenhuatang.com/search.php?filter=ノーベル賞'>ノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。エッセイスト。
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