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青島の新型コロナPCR検査のため、人々が列をなしている。警察官や防護服に身を固めた病院の職員はもちろん、同様のいで立ちのボランティアもおり、少しすると消防署の人たちまでが一群となって到著した。
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中國嫁のいる日本人の僕は、中國から見て中國人の配偶者である外國人だから、査証つまりビザではなく居留許可証で中國に滯在している。結(jié)果として出入境(出入國のこと)の必要がなく、新型コロナウイルスのPCR検査などともこれまで全く無縁であった。
【その他の寫真】
少なくとも少し前までは、本當にそうだった。
というのも中國にいると、ロックダウンなり隔離政策なりがハンパないわけで、普通であればまず感染しない。
もう少し正確に言うと、感染している可能性が少しでもある人は強制的に検査また隔離となるため、感染している可能性が限りなくゼロに近い人ばかりが身の回りにいることになる。
とはいえ中國にいる僕らにも、これまでニアミスが全くなかったわけではない。
最初の危機は、2月にコロナ禍が始まって間もなく、田舎の農(nóng)村で親族皆と一緒に食事を楽しんだ後に生じた。
その食事の席にいた親族數(shù)人が數(shù)日前に別の親族の見舞いに病院に行ったのだが、なんと、その同じ病院の同じ病棟の海外帰りの某夫婦がコロナに感染していることが數(shù)日後に判明したのだ。
もっとも結(jié)果はと言うと、同じ病棟に入院していた親族は殘念ながら感染してしまったものの、見舞いに行った親族數(shù)人は全員無事だった。
あぶないあぶない。中國ではごくごく普通な和気あいあいとした家族団らんが、あやうくクラスターと化し、一族郎黨総感染となってしまうところだった。
それから數(shù)カ月が経ち、コロナの隔離政策のため結(jié)局半年しか幼稚園に行かなかった娘も小學(xué)校に無事入學(xué)したのだが、まさかその僕たち家族に「第二波」が待ち受けていたとは誰が知ろう。
それは小學(xué)校の先生から夜中に屆いた、不穏な微信(WeChat)メッセージから始まった。
「父兄の皆様へ:緊急なお知らせがあります。ここ2週間の間に青島全市へ往來した學(xué)生とその家族への組織的調(diào)査をしっかり行います。該當者は速やかにご連絡(luò)ください」。
次いで青島の総領(lǐng)事館からメールがあり、僕はその不穏なWeChatメッセージの意味がやっと分かった。
「青島市衛(wèi)生健康委員會は昨日、青島市で新型コロナウイルス癥例(4例の確定癥例、5例の無癥狀感染者)を発表しました。これで、現(xiàn)時點での感染者は、確定癥例6例、無癥狀感染者6例となりました?!?/p>
「また、今回の確定癥例発生を受け、青島市は3日以內(nèi)に市街地について全面的なPCR検査の実施、5日以內(nèi)に青島全市の全面的なPCR検査を?qū)g施するとしています。」
「青島市衛(wèi)生健康委員會の発表本文:當市において3例の新型コロナ肺炎無癥狀感染者の発生以降、直ちに大規(guī)模な感染狀況の洗い出し及び分類検査を展開、密接接觸者及び市胸科醫(yī)院に関係する人員を高リスクグループとして重點観測を行った。洗い出された密接接觸者及び市胸科醫(yī)院のすべての患者及び付添人は全部で377人、うち新たにPCR検査で陽性になったのは9人、専門家グループにより、うち4例が確定癥例、5例が無癥狀感染者と判定された?!?/p>
「既に洗い出された密接接觸者の密接接觸者は76人、うち34人の結(jié)果が判明、すべて陰性。一般接觸者810人、うち485人の結(jié)果が判明、すべて陰性。洗い出された全市の醫(yī)療従事者、新入院患者及び付添人は14萬3893人、すべて検體採取を完了、うち11萬4862人の結(jié)果が判明、すべて陰性?!?/p>
「既に全員検査方案が制定されており、広大な市民の積極的な協(xié)力の下、社區(qū)による検査が現(xiàn)在迅速に進められている。検査結(jié)果は隨時公布する。(以下、省略)」
そのようなわけで、中國人の妻の高齢の母親の様子を見に農(nóng)村に行った僕らもまた、娘の小學(xué)校の先生から、明日病院に行って検査を受けるように、と言われてしまった。
「(感染者が発見された市街地から全然離れている農(nóng)村に行ったというだけで)検査を受けなきゃいけないなんて、これがつまり共産主義國家ってことね」との中國人の妻の感想に激しく同意しつつ、僕は僕で友人に連絡(luò)し、明朝のミーティングの司會を急遽代わってもらう。
翌朝。妻は朝6時過ぎに(?。┲摔穗娫挙蛉毪欷茥蕱摔卧敿殼摔膜い拼_認する(中國では親族友人知人間での早朝の電話はアリであるが、夜中の電話は早く寢てしまう人が多いのでNGである)。検査前に食事をしても大丈夫だと分かり、さっそく食事をして病院へ。
朝8時。病院は既に新型コロナウイルスのPCR検査のため、人々が列をなしている。そりゃ、ほぼ接觸していない人まで検査を受けなさいとなれば、當然そうなろう。
同時に、病院のガードマンではなく警察の人がそこここに立っていることに改めて気が付く。防護服に身を固めた病院の職員はもちろん、同様ないで立ちの共産黨員であるボランティアの人もおり、少しするとなんと消防署の人たちまでが一群となって到著する。
「1メートルの間隔を保ってくださーい」。防護服で完全防備の病院の人が近づいてきて、検査をスムーズに行うためにちゃんと診療費の準備をしているかどうかを一人一人に聞いて回る(検査そのものは無料であるが、診療費が9元、日本円にして150円弱かかる)。
ようやく検査の順番が來て、診療費を払い、検査用のバーコードシールを受け取り、検査をしに行く。
「あんた、日本人?」そうだと答えると、さっと綿棒でのどの粘膜をなでられ、検査終了であった。
翌々日に病院に行くと、案の定というかなんというか、「陰性」の診斷書を渡される。僕たちを含め娘の同級生數(shù)人がこれを?qū)W校に提出して初めて、今回の「學(xué)生とその家族への組織的調(diào)査」が終了する。
そんなわけだから、「中國は新規(guī)感染者ほぼゼロ、一方で疑問の聲も―獨メディア|レコードチャイナ」という記事で、ドイツ公共放送連盟(ARD)が現(xiàn)在の中國における新型コロナウイルスの感染狀況について、「中國では多くの生活領(lǐng)域がすでに平常狀態(tài)に戻っており、感染例も少ない。大規(guī)模な検査運動展開、厳格な感染経路追跡と隔離規(guī)定などさまざまな防疫措置を取って感染を抑制し、監(jiān)視國家という性質(zhì)が事実上當局によるウイルス対策をアシストした」というのは、まさにその通りだと実感せざるを得ない。
加えて完全無料ではないものの、まあ150円足らずで「新型コロナウイルスのPCR検査を受けさせてもらった」のだから、そのことにも感謝できる。
その日の午後は妻の友人のご主人がやっている床屋に散髪に行き、家族で検査を受けてきたと話した。
ちょちょ、ちょっと待った、結(jié)果も出てないのに何で來るんだ!などと怒鳴られることもなく、まあ中國はそこそこ安全だ、それに比べ米國は…といった話になる。それで僕が言う。
「いや、昔だったら皇帝が自分で(政策を)決めて、後代の我々がその是非を判斷する。貴族とか偉い人たちが決めたことについても同じで、それが良かったか悪かったかを(人民である)僕たちが後になって判斷してきた。でも今は(米國をはじめとする國々において)僕たち自身が(自分で)何でも決めて、良かれ悪しかれ、その結(jié)果を即座に身に受ける。だから今の世の中というのは、(民主主義の臺頭という)本當に最終的な段階に來ているんですよ」。
分かりやすく言えば、現(xiàn)代人は良かれ悪しかれ、一人一人が「小皇帝」なのだ。
僕個人としては、ご自身で何でも決める自由をお持ちの日本の皆さんもまた、ご自身でよい判斷決定をされつつ、コロナ禍を自ら首尾よく切り抜けられるよう、ただただ願ってやまない。
■筆者プロフィール:大串 富史
本業(yè)はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中國?北京に8年間、中國?青島に3年間滯在。中國人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留學(xué)を旨とする「長城中國語」にて中國語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中國?中國人?中國語學(xué)習(xí)?中國ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執(zhí)筆中。
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