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「ツァー」とは、一般的に、昔のロシアの皇帝のことだ。帝政ロシア時(shí)代である。世界初の共産黨政権であるソビエト連邦が出來(lái)る以前は、この絶対的権力者が君臨して國(guó)民は貧しい農(nóng)奴であった。
「ご主人はん、なんやえらいタイトルでんな?;实郅いΔ郡椤ⅴ圣荪欹??」
「ワン、ようしっとるな。賢い犬や」
「なんや、蔑まれているような感じの言い方でんな」
「あ、しつれい…つい、つい、いけないと思いつつ、『犬のくせに』と思ってしまうな。反省」
「まあ、よろしいけど、皇帝って、ナポレオンとちごうたら、秦の始皇帝?」
吾輩はワンの賢そうな柴犬顔を見(jiàn)ながらゆっくり口を開(kāi)いた。
この「皇帝」コラムを書(shū)いたのには理由がある。普段は、吾輩の新しいコラムがあがっていたら、一応読み直す。時(shí)折、間違いや抜け、過(guò)ちを見(jiàn)つけるが、後の祭りである。コメントまでは見(jiàn)ない。ところが先日、たまたま畫(huà)面を下にさげたら、「香港の新しい法律について、コラムで意見(jiàn)を聞かせろ」という、書(shū)き込みがあった?!袱ⅳ椁?、厄介なものを見(jiàn)てしまった」と思ったが、「ふーむ」と気になった。コラムへの感想とか、反対意見(jiàn)とか、文句とか、注意、持論の展開(kāi)と言ったものではない。この方、若い人だと勝手に思っている。若い男性だろうと妄想している。しかし、內(nèi)容は、真剣に考えられた上、72歳の老人の意見(jiàn)も聞きたいのであろう。
「それで『皇帝』と、どう関係しまんねん? 前置き長(zhǎng)すぎまっせ」
「ワン、まあ急かすな。高齢者はくどくどと長(zhǎng)い。いずれお前も高齢者になる」
「ま、まま、いいでっしゃろ。それで」
吾輩は身を乗り出してきたワンの左手、左前足を押しのけて、キーボードを叩いた。
ロシアのプーチンさんが、憲法改正をして長(zhǎng)期政権を可能にした。読売新聞の記事だと選挙で、投票や集計(jì)の疑惑があるそうだ。まあ、いつものことだが、これで彼は『ツァー』になった。
「旅行に行くんでっか」
ワンがニヤリニヤリとしつつ聞く。
「ワン、違うと判ってて、聞くな! 難儀な奴や!」
「へい、ワワーン」
「ツァー」とは、一般的に、昔のロシアの皇帝のことだ。帝政ロシア時(shí)代である。世界初の共産黨政権であるソビエト連邦が出來(lái)る以前は、この絶対的権力者が君臨して國(guó)民は貧しい農(nóng)奴であった。半ば奴隷狀態(tài)の國(guó)民である。
現(xiàn)在のロシアの國(guó)民は「農(nóng)奴」ではない。一応、民主主義的手法で、プーチンさんは「皇帝」に近づいたわけだ。昔のように官僚制を従え、武力を持ち、自由を完全に封殺し、平等も求めないというシステムではない。
グローバルな政治経済體制下では、一國(guó)だけでの専制政治は、大きな國(guó)ほど難しい。しかし、西歐型の民主主義國(guó)家から見(jiàn)ると、権力の集中度合いで、プーチンさんは現(xiàn)代の「皇帝」と言えるかも知れない。
大統(tǒng)領(lǐng)と言っても、形式的な國(guó)の場(chǎng)合もある。しかし、ロシアの大統(tǒng)領(lǐng)は、日本の「首相」と違い、強(qiáng)大な権力がある。その大統(tǒng)領(lǐng)を30年も、40年も、しかも院政まで出來(lái)る仕組みを作ったのだから、これは「皇帝」の誕生と言っていい。
アメリカの大統(tǒng)領(lǐng)は、最長(zhǎng)2期8年しか勤められない。これは、「権力は絶対に腐敗する」という長(zhǎng)年の人類(lèi)の経験があるからだ。卑近な例だと、どのような組織でも通常一つの処で、ベテランになり、何事も判ってきて人の上に立ち、そこの権威になると、「人間は怠惰」になる。そして「傲慢になる」、権力的になる。
これは人間の習(xí)性らしい。もちろん例外的、偶然には、いつまでも謙譲で精進(jìn)する人もいる。といって、人間の生殺與奪の権利まで持とうかという大きな権限を持つ政治家、トップに、その偶然を期待すると危険である。
ところが、ロシアでは異常な體制が、それを取り巻く勢(shì)力とともに続くことになった。北朝鮮の世襲という前近代的な制度と似ている指導(dǎo)者が出てきた。
一方、中國(guó)も習(xí)近平さんが、それまでの主席と違って、中國(guó)を建國(guó)した「毛沢東」のように、一身に権力を集めつつある。これも見(jiàn)方によると現(xiàn)代のツァー、「皇帝」である。
「そうでんな、現(xiàn)代社會(huì)で、世界の中心になるような、影響があるような大國(guó)では、いままで余り見(jiàn)まへん政治家ですもんな」
アメリカは大統(tǒng)領(lǐng)の権限は強(qiáng)大だが、批判してもいいし、マンガで面白おかしく描いてもいい。やり方がおかしければ、裁判に訴えも出來(lái)る。反対派もいるし、デモもする?!袱欷谓证溪?dú)立する」と運(yùn)動(dòng)を起こしてもいい。議會(huì)が大統(tǒng)領(lǐng)を弾劾さえ出來(lái)る。
何より長(zhǎng)くて8年で終わりである。もちろん、8年が長(zhǎng)すぎるのではなく、「8年というのは短すぎる」ので十分取り組めない、という弊害はあるかもしれない。しかし長(zhǎng)すぎる場(chǎng)合の危険性と比べると、はるかにましである。先に書(shū)いた「権力は腐敗する」というのは人類(lèi)が長(zhǎng)い歴史のなかで學(xué)んできたことなのだ。
また、現(xiàn)在、アメリカはコロナと人種差別で大騒動(dòng)だが、それは、報(bào)道が自由だからでもある。8年の大統(tǒng)領(lǐng)でもニクソンの「ウォーターゲート事件」のように闇の部分もある。それでも基本的に「自由」で「民主」が実質(zhì)的に保障されている。権力は監(jiān)視され批判される。
さて、老人、吾輩や友人の意見(jiàn)を述べる。まあ吾輩の友人だから価値観の近いものが多いのだろうけれども、基本的に「自由」「民主」「人権」を守り「資本主義」をコントロールする社會(huì)に賛成だ。
「こんなコラム、書(shū)けない國(guó)もありますもんな。ひよっとすると、世界を見(jiàn)回すと、アフリカや南アメリカ大陸なんかも…。地球上では、実質(zhì)的には、自由でない國(guó)の方が多いかも知れまへんなあ」
「うむ…。ワン、おまえ、人間よりエライ犬だなあ。立派な柴犬だ!ゴースト犬か、吾輩の頭の中の妄想犬か、宇宙人、いや宇宙犬か、はたまた異次元の生き物か…。ま、ええか…」
ワンの言うとおり、例えば教育制度がなくて、「識(shí)字率」が低くて、貧しい地域では、毎日、食べることに精一杯である。目の前の金持ちには憤っても、社會(huì)の仕組みとか、ワイロ?不正橫行の権力まで思考が屆かないだろう。もちろん監(jiān)視機(jī)関も、中立的な裁判の仕組みも、なにより公正な、批判的な報(bào)道もない。
「で、香港はどうでんな」
「拙いと思うよ。こんな法律は反対だよ。暗黒政治だなあ」
「なんか行動(dòng)しはりませんのか」
「そういわれると、言葉もない」
「ワーン、あまり追求するとご主人はん、頭のハゲが酷くなりますもんな」
「…ありがとう」
まあ、余談だが、思い出すと、吾輩の場(chǎng)合、母が「明日のお米がない」といった青春時(shí)代、23歳で入學(xué)した貧困と屈辱的な大學(xué)時(shí)代、48歳でのガンでの胃切除、世渡りベタの真面目人間…と、數(shù)え出すとキリがない。大変な人生だった。
「あらら…しりまへんでした。大學(xué)いうたら18歳で入學(xué)して、22歳で卒業(yè)チャイマンノン?」
「27歳で卒業(yè)した??!悪いか!ほっとけ!ワン!」
「いえいえ、悪いことおまへんワン」
「コ、コホン!落ち著きます」
いろいろあったが、でもまあ、日本の國(guó)に生まれたおかげで、勉強(qiáng)も出來(lái)、家庭も持ち、いまは年金ももらいつつ、老朽化する身體を醫(yī)者にも診てもらい、生きさせてもらえている。
「自由に意見(jiàn)も表明できる」
「そうでんな、ものが言えてますもんな」
「吾輩の産まれる前は、日本でも、ものの言えない時(shí)代だった…」
「國(guó)は貧しくて、娘の身売りがあり、軍人が威張り、特別高等警察が監(jiān)視していたんでんな…。エライ犬でっしゃろ」
現(xiàn)在の中國(guó)やロシアは、75年前の日本ほどでないにしても、相當(dāng)程度発展は遅れている?;镜膜素殼筏い?、人々の教育も先進(jìn)國(guó)レベルには遠(yuǎn)い。自分が幸せな立場(chǎng)で、相手の國(guó)を見(jiàn)下して、冷ややかに見(jiàn)ているつもりはない。だが、グローバル化の中で、そういった國(guó)が軍事的にも力を持ち、経済的にも世界のネットワークの中に入っている。心配だが、具體の行動(dòng)と言われても、吾輩も、吾輩のような高齢者も困るだろう。
そして、日本國(guó)でさえ中國(guó)に対して「遺憾の意」しか表せないという現(xiàn)狀がある。21世紀(jì)は西歐型民主主義が広まり、自由な社會(huì)が訪れると、ぼんやり思っていたが、どうもこのまま続いていくと「皇帝」と「新たな帝國(guó)主義」が膨張して行くかも知れない。
ただ、若い人には、甘い、ぬるいと言われるかも知れないが、高齢者だけではない我々の、か細(xì)い思い、小さな聲がまとまって、「皇帝」に大きなプレッシャーになっているように思う。その、サイレントマジョリティの波が、日本の指導(dǎo)者や他の人々、世界の人々に、靜かに及んで欲しいと考えている。
「サイレント…なんて、なんでっか?」
「物言わぬ大衆(zhòng)。だが、その小さな心の波が結(jié)局は、大きなうねりを作り出していく」
「ご主人様、そうでっしゃろか?」
「うむ…、自由な日本では、たぶん大きな力だと思うよ。その動(dòng)きを摑んだ為政者が成功する…、と信じたい」
「人間の理性でっか…」
「…ん」
中國(guó)?ロシアと、陸地面積から言うと地球を支配するような大國(guó)である。軍事力も凄い。その國(guó)々の指導(dǎo)者が「皇帝化」しつつある。
「『皇帝の世紀(jì)』でっか」
「なんか、そんな気がする。『21世紀(jì)は皇帝の世紀(jì)』」
「対抗するのは、自由な高齢者でっか」
「ははは、いや、やはり若者だろうね」
「淋しいやおまへんか」
「『老兵は死なず、消えゆくのみ』とマッカーサーは言った」
「マッカーサーってだれでんねん?」
「第二次大戦で日本を占領(lǐng)した、アメリカの元帥」
「マッカーサーの言うように、老兵は消えゆくけれど、自由の波は起こしていく、いうんでんな」
「そうありたい。あと10年前後の間に、吾輩も友人達(dá)も次々に今生から去りゆく可能性が高い…」
「クゥーン」
ワンが淋しく泣いたので、吾輩も、しゅんとなってこのコラムを終わる。すみません。ひょんなことでコメントを読んでしまったので、こう言う次第になりました。人々が幸せで、善く生きられますように。
■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小學(xué)校?飛松中學(xué)校?星陵高校?神戸學(xué)院大學(xué)?仏教大學(xué)卒です。同窓生いるかな?小説?童話(huà)の創(chuàng)作と、善く死ぬために仏教の勉強(qiáng)と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文蕓祭りの選者(それぞれ隨筆と児童文學(xué))をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時(shí)折友人達(dá)などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時(shí)折禁酒(笑)。中學(xué)教員から県や市の教育行政職、大學(xué)の準(zhǔn)教授?非常勤講師などをしてきました。児童文學(xué)のアンソロジー単行本數(shù)冊(cè)。小説の自家版文庫(kù)本など。「童話(huà)絵本の読み方とか、子どもへの與え方」「自分史の書(shū)き方」「人権問(wèn)題」「瞑想?仏教」などの講演會(huì)をしてきました。
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