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新型コロナのまん延で封鎖された中國湖北省武漢での生活を描いた女性作家?方方さんの「武漢日記」の英語版とドイツ語版が出版されることが決まった。寫真は武漢。
ニュースによると、新型コロナのまん延で封鎖された中國湖北省武漢での生活を描いた女性作家?方方さんの「武漢日記」の英語版とドイツ語版が出版されることが決まった。ところで、中國のネット上では、「武漢日記」の海外出版にあたって、方方さんを批判する聲が激しい?!阜椒饯丹螭猡稳摔藢潳贰⒅袊螑櫩冥蜓预Α工取刚x感」を振りかざす人がいた。彼らにとって中國を批判する中國人は「売國」であろう。中國のネットでは、ある人が「愛國心の大義」の旗を挙げて、方方さんを攻撃したり、罵倒したりしている。それは極めて殘念で、反対意見を言っても相手を尊重すべきである。
なぜ「武漢日記」が中國の外で人気を集めているのかと考えてみると、封鎖されていた武漢の様子を毎日発信することで、一節(jié)の歴史を記録する役割を果たしているからではないか。しかも武漢の経験と教訓も含めて多くの現(xiàn)地情報を提供し、新型コロナに襲われた世界中の人々にとっても読む価値がある。
私は方方さんの「武漢日記」の大部分を読んだ。政府が武漢に対して異例の封鎖措置を斷行した2日後の1月25日から毎日、武漢の人々の暮らしや政府の対策に対する不満などをつづり、毎日SNSに日記をアップした。その精神力に脫帽する。確かに、「武漢日記」は文學作品ではなく、形としては正真正銘の日記である。いいニュースと悲しいニュース、両方を取り上げ、感情豊かな日記である。日常茶飯事のようなことも書かれている?!肝錆h日記」は、感染拡大の初期に情報を隠蔽した地方政府に対する不信感をにじませ続けた。ただし、それでもちょっとだけ釘を刺したぐらいのことで、相當控えめな批判だ。言葉を濁したこともある。ある程度の「忖度」があったかもしれない。日記なので、報道ではなく、事態(tài)の深層を掘っていない。日記の內容には常識を示すことで、あえて言えば、思想の領域に至っていないと思う。
中國では「武漢日記」は異端の存在だと知らされた。ごく當たり前のことを示した「武漢日記」は、人々に「自國批判」を啓蒙する稀有な聲になっている。一つの聲に慣れている人々は內の人が自國を批判することに慣れていない。自國のマイナス面を言われたら、精神的に耐えられない人がいる。それこそが憂える社會現(xiàn)実である。もちろん、多くの人は「武漢日記」が自分の心の聲を代弁し、方方さんの勇気に感服したと言う。多數(shù)の中國の有識者が方方さんを支持している。災難の中で「人間の傷」を記録するのは當然、作家の責任である?!附∪噬鐣扦ⅳ毪胜椤阂护膜温暋护坤堡扦ⅳ盲皮悉胜椁胜ぃɡ钗牧玲t(yī)師)」という言葉を忘れてはいけない?!肝錆h日記」の內容をめぐって、賛否両方が理性的に議論し合うことができたら、中國社會にとってはありがたいことだろう。幸いなことに、現(xiàn)在方方さんは依然としてWeibo(微博)などで発信を続けている。
ちなみに、最近私は中國のマスコミの友人と話すと、相手はよくアメリカとトランプ大統(tǒng)領のことを分析したり批判したりしている。「なぜ中國のことを言わないのでしょうか。中國に対する分析などをもっと聞きたい」と私は注文した。相手は苦笑しながら言った?!附?、中國のネットで、アメリカを批判する內容が多い。中國を批判することは簡単ではないが、これから頑張って発信したい…」
現(xiàn)在中國では、新規(guī)の新型コロナ感染者數(shù)が抑えられ、徐々に日常を取り戻そうとしている。これは評価すべき點である。ただし、そういう時こそ、新型コロナがもたらした教訓を忘れず、排他的ナショナリズムを警戒すべきである。新型コロナの後、國々のナショナリズムはどう変わるだろうか。新型コロナで私たちの世界観と価値観が変わるかもしれない。「武漢日記」をきっかけに、中國の人々が「真の愛國感情はどういう形で表現(xiàn)すればいいか」を考えたらどうだろう。自國をひたすら誇りに思うより政治権力に物申す態(tài)度こそ、真の愛國者だと思う。
■筆者プロフィール:黃 文葦
在日中國人作家。日中の大學でマスコミを専攻し、両國のマスコミに従事。十數(shù)年間マスコミの現(xiàn)場を経験した後、2009年から留學生教育に攜わる仕事に従事。2015年日本のある學校法人の理事に就任?,F(xiàn)在、教育?社會?文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執(zhí)筆中。2000年の來日以降、中國語と日本語の言語で執(zhí)筆すること及び両國の「真実」を相手國に伝えることを模索している。
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