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2012年11月の第18回共産黨大會で黨総書記に選出された習(xí)近平氏(59歳)。向こう10年間、拡大する中國のかじ取りを擔(dān)うことになった。いかなる人物でどのような內(nèi)外政策をとるであろうか。実態(tài)に即して追求してみる。寫真は第18回中國共産黨大會。
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2012年11月の第18回共産黨大會で黨総書記に選出された習(xí)近平氏(59歳)。向こう10年間、拡大する中國のかじ取りを擔(dān)うことになった。いかなる人物でどのような內(nèi)外政策をとるであろうか。実態(tài)に即して追求してみる。
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2007年の前回(第17回)共産黨大會で彗星のごとく「ポスト胡錦濤」としていきなり常務(wù)委員に抜擢されたことに海外メディアの多くは驚愕した。半年前に上海市黨委員會書記になったばかりで、黨中央では中央委員でしかなく、政治局員ポストを飛び越えたためだ。
習(xí)氏に白羽の矢が立った理由は、省や市の黨トップとして頭角を現(xiàn)した地方幹部としての実績のほか、もともと近かった江沢民前國家主席派だけでなく、胡錦濤國家主席グループの受けもよかったこと。さらに「習(xí)仲勲(元副首相)の子」との信頼だった。仲勲氏は文化大革命で失腳したが、名譽回復(fù)を果たし、トウ小平を支えた。改革派としての考えを貫いた人格者で、胡氏らが尊敬していたことも大きかったようだ。
対抗馬と目された李克強氏は北京大學(xué)大學(xué)院出の経済學(xué)博士で、「中國が今後直面する経済の政策運営を行う責(zé)任者に適任」との見方も多く、首相ポストに回った。
周囲の習(xí)氏評は、「誰とでもソフトに話す敵をつくらない人物」ということで一致している。青少年時代に父親の失腳に伴う農(nóng)村暮らしや下放(文化大革命時代の青年を地方農(nóng)村地帯に送り出す政策)による苦難の生活経験からか、膽力にすぐれ、苦労している人や貧しい人への思いやりは人一倍といわれる。文革終了後も、志願して河北省の貧困地域に職を求めた。
習(xí)氏と出會った日本の政財界人の多くも「微笑しながら靜かにしゃべる抑制的な人物」との印象を抱いている。誰にでも気さくに會い広い人脈を築いているとも言われる。こうした事例から「全方位志向のバランス重視型」の人物像が浮かび上がる。
ただ、言うべき時にはきちんと主張するタイプでもあるようだ?!父工い盲绚い摔胜盲皮浃毪长趣韦胜ね鈬摔⑽窑瑖吻伏cをあれこれあげつらって批判している」―。2009年2月、メキシコを訪問した際、中國の人権問題に対する歐米の批判を念頭にこう語り、「中國の次のリーダーはタカ派」との見方が広がった。
習(xí)氏は5年前の常務(wù)委員就任後、共産黨政権の威信をかけた北京五輪の準(zhǔn)備と運営の責(zé)任者といった重責(zé)も擔(dān)った。分離?獨立の動きがくすぶるチベット族居住地域で五輪前後に相次いで不穏な事件が起きたが、厳しい取り締まり姿勢を崩さず、黨の期待に応えたとされる。
アジア、アフリカ、歐州、南米とバランス良く「顔見せ」外交を展開し、2012年2月、その仕上げで米國を訪問した。日本には09年12月には訪日して天皇と會見した。外國要人が天皇と會見するには、一カ月前までに申し込むのが慣例となっている中、中國側(cè)は1カ月を切ってから打診。日本側(cè)が一度は突き返したが、民主黨幹事長だった小沢一郎の働きかけで実現(xiàn)した。習(xí)氏は天皇陛下との會見により、次期トップリーダーとして箔を付けることができ、天皇と日本國民に深く感謝しているという。
▽格差是正と腐敗撲滅に強い意欲
習(xí)新體制は、果たしてどのような政策を遂行するだろうか? 內(nèi)政的には安定的経済成長と格差や腐敗などの社會構(gòu)造の改革の二大目標(biāo)達成が急務(wù)である。
習(xí)総書記は最近、「われわれの黨では深刻な紀(jì)律違反や卑劣な法律問題が発生し、政治に悪影響を及ぼし、人々に衝撃を與えた」と言及?!更h員、特に黨幹部は、個人の利益のために職権を亂用し、法律を曲げることがあってはならない」と指摘した。
さらに共産黨政治局の集団學(xué)習(xí)會で、腐敗がはびこれば黨が不安定となるリスクが増し、黨の統(tǒng)治が崩壊する可能性があるとの認(rèn)識を示した。就任早々「腐敗撲滅」にかける決意を繰り返しており並々ならぬ決意のあらわれといえる。
外交的には、胡錦濤政権と同様、対米関係を重視した國際協(xié)調(diào)路線を歩まざるを得ない。これら目標(biāo)実現(xiàn)のためには、広く海外諸國との貿(mào)易?投資交流が不可欠だからだ。経済分野まで影響が及び「政冷経冷」?fàn)顟B(tài)に陥っている日中関係は打開できるだろうか?
▽GDP倍増へ日中産業(yè)連攜は不可欠
習(xí)氏は尖閣諸島國有化の直後の九月に「日本政府の國有化は茶番だ」と強く反発した。その一點で「対日強硬派」と見るメディアも多い。就任當(dāng)初は足場を固めるため強硬発言が飛び出すだろうが、基盤が確立するにつれ協(xié)調(diào)的なスタンスに舵を切るのではないか。経済の視點からみれば、「二〇二〇年にGDP倍増」との目標(biāo)を達成するためには改革開放路線の継続と構(gòu)造改革が不可欠だからだ。
幹部人事が決まる共産黨大會とその後の調(diào)整時期、すなわち「政治の季節(jié)」が終了すれば、経済が優(yōu)先される時期に入る?!噶?xí)新體制」に弾みをつけるためにも、減速している景気を底上げするため、積極的な景気対策が打ち出される可能性が大きい。
反日デモ以降、中國の消費者の買い控えが日本企業(yè)の業(yè)績に及ぼす影響が懸念されている。しかし、日本の部品や素材、工作機械を使わなければ中國の製造業(yè)は成り立たない。政治の季節(jié)が終わり、習(xí)近平新體制がスタートしたこと、中國當(dāng)局の優(yōu)先課題が景気対策に移ったことも追い風(fēng)となるだろう。
中國の陳徳銘商務(wù)相は記者會見で、尖閣諸島紛爭を背景にした日中間貿(mào)易の減少について、「グローバル化した現(xiàn)在、特に日中間の産業(yè)は密接につながっており、こうした狀況を見たくない」と、両國間の貿(mào)易低迷は中國にとっても好ましくないとの考えを示した。日中韓3カ國のFTA(自由貿(mào)易協(xié)定)交渉もスタートした。政治的な摩擦と経済関係は切り離して考えるべきだとの方向にシフトする可能性が大きい。
<「コラム?巨象を探る」その21>
<「コラム?巨象を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長?主筆)によるコラム記事。近著に「中國危機 巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)がある>
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
八牧浩行
2012/11/22
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