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アジサイの撮影をしていると、見知らぬ年配の女性から聲をかけられた。
あれは日曜日の午後のことだった。家に戻ると門の近くのアジサイが太陽の光の中できれいに咲いているのが目に留まり、私は何枚か寫真を撮った。そこで突然聞こえてきたのが「雨の季節(jié)はもっときれいですよ」という聲。振り返るとそこには見知らぬ年配の女性が立っていた??证椁?、通りすがりの人なのだろう。私は「そうですね。雨の日はもっときれいですね」と丁寧に答えた。
すると女性は「私の家ではタチアオイも咲きました。良かったら寫真を撮ってもらえませんか?本當(dāng)にきれいなんですよ」と続ける。戸惑う私を見た女性は「そんなに遠(yuǎn)くないんです。そこを曲がるとすぐですから…」と促した。
女性の家は築30~40年だろうか。鉄製の柵にはまだら模様が見られた。庭全體に植物が植えられているのだが、手入れが十分とは言えず、中には伸びすぎた枝に覆われてしまった窓も―。女性が言っていたタチアオイは家に沿った一角を占めていた。構(gòu)図が難しい上、ピンク色だ。一歩間違えれば野暮ったい寫真になってしまう。そもそも私はそんなに乗り気ではなかったのだ。情にほだされて來ただけで、「光のことなんか考えずに何枚か撮ったら立ち去ろう」という考えが頭に浮かんだ。
そんな思いでカメラを手にする私に、女性は「どう?きれいでしょ」と話しかけ、獨(dú)り言のように「殘念ながらこの庭で花を眺めるのは私1人だけ。たくさんの人に寫真を見てもらえたら…」。この時になって私はやっと「女性との出會いは花とは関係なかった」ということに気付いたのだ。
これは「孤獨(dú)にまつわる物語」だ。タチアオイはそれほど好きではないが、女性のつぶやきを聞いた私は背景や光の加減に注意し、真剣な気持ちでカメラを構(gòu)え直した。數(shù)枚撮るごとに女性に確認(rèn)してもらうという作業(yè)を繰り返すと、女性の顔には嬉しそうな笑みが浮かんだ。去り際に庭の朝顔を指差す女性の口から出たのは「あと何日かしたら咲きそうです。朝、撮影に來てもらえたら歓迎しますよ」という言葉。私は迷うことなく笑顔を返した。
■筆者プロフィール:呂厳
4人家族の長男として文化大革命終了直前の中國江蘇省に生まれる。大學(xué)卒業(yè)まで日本と全く縁のない生活を過ごす。23歳の時に急な事情で來日し、日本の大學(xué)院を出たあと、そのまま日本企業(yè)に就職。メインはコンサルティング業(yè)だが、さまざまな業(yè)者の中國事業(yè)展開のコーディネートも行っている。1年のうち半分は中國に滯在するほど、日本と中國を行き來している。興味は映畫鑑賞。好きな日本映畫は小津安二郎監(jiān)督の『晩春』、今村昌平監(jiān)督の『楢山節(jié)考』など。
■筆者プロフィール:呂 厳
4人家族の長男として文化大革命終了直前の中國江蘇省に生まれる。大學(xué)卒業(yè)まで日本と全く縁のない生活を過ごす。23歳の時に急な事情で來日し、日本の大學(xué)院を出たあと、そのまま日本企業(yè)に就職。メインはコンサルティング業(yè)だが、さまざまな業(yè)者の中國事業(yè)展開のコーディネートも行っている。1年のうち半分は中國に滯在するほど、日本と中國を行き來している。興味は映畫鑑賞。好きな日本映畫は小津安二郎監(jiān)督の『晩春』、今村昌平監(jiān)督の『楢山節(jié)考』など。
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