拡大
日本語には“急がば廻れ”ということわざがある。そんな慎重な日本人とは真逆に位置する中國人の楽観主義、ケセラセラ精神を、目の當(dāng)たりにする機(jī)會があった。寫真は內(nèi)モンゴル自治區(qū)の草原。
(1 / 4 枚)
※中國に渡って10年?,F(xiàn)在、「中國で最も有名な日本人俳優(yōu)」と稱される矢野浩二氏によるコラム。
【その他の寫真】
中國の連続ドラマは、日本のように週に1回の放送ではない。1日2話ずつの、そして毎晩連続して放送される。つまり、30話の連続ドラマだと2週間ほどで放映は終了する。その後話題となり、視聴率が取れると何年もえんえんと再放送が続く。中國の人は週1回の放送では待ち切れないのだ。街中では車のクラクションを頻繁に聞く。信號も守らない人も多い。バス停では並んで待ちはするものの、いざ乗車の際はみんなが一斉にドアに向かって走り出す。
日本語には“急がば廻れ”ということわざがある。遠(yuǎn)廻りでも安全、そして確実な道を選ぶ方が、結(jié)局は近道になるという意味。日本人の精神にも染み付いている言葉だ。
そんな慎重な日本人とは真逆に位置する中國人の楽観主義、ケセラセラ精神を、目の當(dāng)たりにする機(jī)會があった。それはあるドラマの撮影で、スタッフ?俳優(yōu)のロケバスや機(jī)材車など大型車両10數(shù)臺が連なって、北京から內(nèi)モンゴルへキャラバン隊(duì)の如く大移動(dòng)した時(shí)である。
朝6時(shí)に北京郊外のホテルを出発。目的地に著いたのは夜7時(shí)。なんと13時(shí)間!もともとスタッフからは、「6時(shí)間ほどで目的地に著く」と聞いていた。だが、6時(shí)間経っても著かない。長時(shí)間にわたってデコボコの道を走行し、揺れが激しく気分も悪い、長時(shí)間座っているため尻が疲れ、僕は不貞腐れていた。
そんな道中、先頭車が砂場にはまって動(dòng)けなくなった。「おいおい…何やってんだよ?。こんなんで撮影場所に著くのか??こんな僻地で留まって、日が暮れたら大変だよ?!」と心の中で愚癡る。すると、車の中から男性スタッフが數(shù)人降りて、後ろからその車を押し上げた。車は無事に砂場を脫出。その數(shù)人のスタッフたちは、「やった?!」と喚起の聲を上げている。その様子を見て「何、喜んでんだ??呑気だよな?」と思う自分。すると、2番目の車両も同様に砂場にはまって動(dòng)けなくなった。すでに抜け出した先頭車両のスタッフ達(dá)がそれを見て、指を差して大笑いしている。そして、彼らを助けるどころか、あがいてもあがいても砂場から抜け出せない車の様子を見て笑っている。
數(shù)分後、2番目の車両も無事に脫出。そして僕の乗っている車も案の定、砂場にさしかかった途端に同じことが起こった。前方を見ると、すでに脫出した車両のスタッフが外で大笑いしている。
「おいおい、何を笑ってんだよ?!助けろよ!」心の中で怒りが湧いた。他人がピンチの時(shí)に、呑気でいられる神経が理解できなかった。でも、みんなは笑っているだけで助けに來ない。仕方なく、乗っていた男達(dá)だけで車を後ろから推す。下りて後方を見ると、まだ數(shù)臺の車が並んでいる。みんな外に出て煙草を吸いながら、その砂場にはまった光景を見て笑っている。まるで、トラブルを楽しんでいるようだ。
この時(shí)彼らの心の內(nèi)にあるのは、「こんなにたくさんの撮影スタッフが揃っているこの狀況では、どんなトラブルもトラブルにならない。絶対クリアできる」という安心感なのだ。だからみんな、悠長に構(gòu)えている。トラブルを楽しむ気質(zhì)すらある。もしも日本の撮影隊(duì)で、主演級を含む俳優(yōu)らを乗せたロケバスがこうなったら笑うどころじゃない。ロケバスを提供した會社は、テレビ局に出入り禁止にされるだろう。
そんな一部始終を見て、これがいわゆる“大陸的な気質(zhì)”なのだなと思った。
「笑ってる場合じゃないだろう?」と、一人イラついていた自分が馬鹿らしく思えた。それまで規(guī)律や予定を重んじる日本スタイルにどっぷり浸かっていた自分にとって、この中國的アバウトさと言うのか、ケセラセラ精神は大きな衝撃だった。せっかちな中國人の、別な一面を見た気がした。もちろん、どちらにも一長一短はあるが。
中國の人達(dá)がよく言う言葉「人生には困難がたくさんある。でも、人生は短いから、困難も楽しまなければ!思い切り楽しんで生きるべきだ。楽しまなきゃ損!」また、「初めは難儀でも一度通り抜ければ、後の道は開ける」という意味の“萬事開頭難”という教えがある。さらに、“出る杭は打たれる”といわれる日本とは異なり、ここ中國では「出る杭は竹の子のごとく、出れば出るだけ賛美される」のだ。13億人を越える人たち、都市部だけでも約5億人が切磋琢磨して生きる中國で頭ひとつリードするには、この考えが必須ということなのかもしれない。
中國の人達(dá)の日本人に対する印象、それは「日本人は勤勉、生真面目、何事にも身を粉にして取り組む精神がある。生産現(xiàn)場ではコンマ數(shù)秒の作業(yè)時(shí)間を短縮するためのマニュアルまである」と。これは世界に誇れる素晴らし精神だ。そして、だからこそ、時(shí)には張り付いた糸を緩める事も必要だ。中國の生活に觸れると、そのことにふと気づく。日本人があまり注視することのない大陸的センスが、ここ中國にはある。
●矢野浩二(やの?こうじ)
バーテンダー、俳優(yōu)の運(yùn)転手兼付き人を経てTVドラマのエキストラに。2000年、中國ドラマ「永遠(yuǎn)の戀人(原題:永恒戀人)」に出演し、翌年に渡中。中國現(xiàn)地のドラマや映畫に多數(shù)出演するほか、トップ人気のバラエティー番組「天天向上」レギュラーを務(wù)める。現(xiàn)在、中國で最も有名な日本人俳優(yōu)。2011年、中國共産黨機(jī)関紙?人民日報(bào)傘下の「環(huán)球時(shí)報(bào)」主催「2010 Awards of the year」で最優(yōu)秀外國人俳優(yōu)賞を日本人として初受賞。中國での活動(dòng)10年となる同年10月、自敘伝「大陸俳優(yōu) 中國に愛された男」(ヨシモトブックス)を出版。
Record China
2011/11/15
Record China
2011/3/4
Record China
2009/10/27
Record China
2007/2/4
Record China
2009/5/9
ピックアップ
we`re
RecordChina
この記事のコメントを見る