<文化勲章受章インタビュー(2/3)>米中首脳會談を繋いだ「汚れないネクタイ」=光觸媒技術を応用―藤嶋昭?東京理科大學長

八牧浩行    2017年10月25日(水) 4時50分

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文化勲章受章が決まった藤嶋昭?東京理科大學長は、光觸媒技術が様々な分野で活用され、衣服、ビル?家屋、道路などの汚れ除去、大気汚染の浄化に効果があると指摘した。寫真は米中首脳會談で江沢民國家主席がブッシュ大統(tǒng)領に贈った光觸媒ネクタイ。

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文化勲章受章が決まった藤嶋昭?東京理科大學長は、豊富な研究実績や教え子の留學生との交流から、自然界の驚異、教育?大學問題まで幅広く語った。この中で、學長がリードした光觸媒技術が様々な分野で活用され、衣服、ビル?家屋、道路などの汚れ除去、大気汚染の浄化に効果がある、と指摘。この技術を応用した「汚れないネクタイ」が米中首脳會談を繋いだこと光栄だったと話した。(聞き手=八牧浩行Record China主筆)

その他の寫真

――藤嶋先生がリードした光觸媒技術は様々な分野で活用されていますね。

光觸媒の技術を応用して繊維の表面を加工し、江雷君が汚れないネクタイを作りました。このネクタイをブッシュ米國大統(tǒng)領の訪中時に江沢民主席が大統(tǒng)領に贈りました。これがその寫真(注=寫真參照)です。米中首脳會談で話題になったのは光栄なことです。

――技術が米中首脳會談を繋いだというわけですね。

技術は全部繋がっています。とても拡がりがあります。

――先生の研究の延長線上で次々に実用化されているんですね。

酸化チタン光觸媒技術は洋服、マフラーなど衣服のほか、ビルや家、道路にも応用できます。大気汚染物質(zhì)の除去にも効果があります。

――モノづくりや醫(yī)療?環(huán)境など広範な分野で科學技術の発展が大切ですね。ところが日本では理科離れが進んでいるようです。

文部科學省の調(diào)査によると、理科の好きな割合は小學5年生が7割であるのに対し、中學生2年生では5割、高校2年生では3割と減っています。こうした傾向に何とか歯止めをかけたいと思います。自然界には興味深いことがいっぱいあります。理科離れ現(xiàn)象は改善できると思います。

このように日本では若い世代の「理科離れ」が深刻です。これを食い止めようと、今小學生新聞に自然界や科學の面白い現(xiàn)象を分かりやすく連載しています。自然界は本當に面白いですよ。

――先生は児童向けの童話とか學生向けの書籍も多く執(zhí)筆されています。文學少年だったのでしょうね。有名人の箴言(しんげん)集にも詳しいですね。

若い中國人たちを日本政府の資金で毎年數(shù)十人、東北師範大學で日本語を徹底的に教育してから來日させて留學させることもやっています。皆優(yōu)秀な人たちですよ。

――中國のトウ小平氏が1978年の日中平和友好條約締結時に東京の日本記者クラブに來て「中國は日本や歐米に比べ相當遅れている。若い世代の教育が重要で、毎年3千人ぐらいの留學生を日本に送り込みたい」と発言しています。その留學生たちが藤嶋研究室のような研究室に入って學び大きく巣立ったのですね。特に最近のこのようなご時勢、益々若い世代の相互の交流が必要だと思います。

私が東大を退官した時の最終講義に、中國人の教え子全員が來てくれました。その後、2012年3月に古希の70歳になった際、北京の郊外に全員集まり、お祝いの會を開いてくれました。日本は還暦の60歳でお祝いしますが、中國は70歳を盛大に祝うのが習慣のようで、とてもうれしく思いました。

――やっぱり「人間」「人の繋がり」なんですよね。ご著書のタイトルとなった「天壽を全うするための科學技術」という目標はとても含蓄のある言葉ですね。

政治経済でもスポーツでも文化でも何でも、「人間第一主義」が先に來れば平和になります。すべての人の希望することは何かと言えば、健康で、快適に、天壽を全うすることではないかと思っています。科學者は何のために研究するのか、最終目的は何かというと、これに盡きるのではないでしょうか。

 

――「天壽を全うするための科學技術」という言葉には、光觸媒をはじめとする技術や醫(yī)療の進歩による長壽と、事故や戦爭で死んではならないという願いが込められているように思います。

「天壽を全うするための科學技術」もそうでしたが、私が本を出すと中國人の教え子たちが中國語に訳してくれます。

――中國は活字分野が凄いですね。新聞や雑誌、書籍も多く、WEB人口は世界一の7億人に達しています。多くの若者が活字から知識を吸収しようとしています。

姚建年君が私の難しい専門書を翻訳してくれました。さらに私が書いた童話の中國版も顧忠沢君が翻訳し、最近中國?南京で出版されました。

――この間南京に行きました。多くの王朝や中華民國の首都だったところで落ち著いた街ですね。

南京にある東南大學の元學長で教育副大臣だった中國科學院院士の韋[金玉](フエ)さんとも親しくしています。

――中國語でも出版すると地球規(guī)模で反響呼ぶでしょうね。小學生に自ら授業(yè)をするなど教育に力を入れておられますね。

 

小さい児童を?qū)澫螭趣筏俊赋銮笆跇I(yè)」を今も続けています。旅行を兼ね大學の2?3年生の時から始めました。その時の仲間が一番親しいですよ。

――よくお暇がありますね

昨日も小學生新聞向けなど原稿を3つも書きました。書くのは好きです。

――理科を好きになる子どもたちを増やすために教育現(xiàn)場にも足を運んでいるようですね。

先日、愛知県西尾市で午前と午後に100人以上の小學生たちに教えました。よかったのは多くが親子で來てくれたこと。それが一番です。理科教育はお母さんの関心がないとだめです?!弗濠`リー夫人の玉手箱―科學は素敵がいっぱい」(吉祥 瑞枝著)という本は興味深い実験を再現(xiàn)しており、お薦めです。

もっとすごいのは英國の科學者ファラディーの実験ノートが今1巻から7巻まで全部殘っています。全生涯におけるすべての実験ノートについて読むことができます。いつどのように考えついたかも分かります。電気分解や電池で使う陰極や陽極を命名し、イオンと言う言葉も作っています。この人の膨大な記録は一番參考になりますよ。

【<文化勲章受章インタビュー(3/3)>最先端の人材が集まれば水準上がる=発明には身近な事象への好奇心必要―藤嶋昭?東京理科大學長】に続く

<藤嶋昭(ふじしま?あきら)氏プロフィール>

東京大學特別栄譽教授。上海交通大學など中國10大學の名譽教授。66年橫浜國立大學工學部卒業(yè)、71年東京大學大學院工學系研究科博士課程修了。東京大學工學部講師、同大學工學部助教授、同大學工學部教授、同大學大學院工學系研究科教授。03年4月より財団法人 神奈川科學技術アカデミー理事長、08年科學技術振興機構?中國総合研究センター長。2010年1月より東京理科大學學長(現(xiàn)在に至る)。日本化學會賞、紫綬褒章、日本國際賞、日本學士院賞を受賞。2010年文化功労者。2017年文化勲章。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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