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中島恵著『なぜ中國(guó)人は財(cái)布を持たないのか』は中國(guó)を留學(xué)や仕事を通じて30年以上ウォッチしてきたジャーナリストによる現(xiàn)地ルポ。ステレオタイプ的な「舊來(lái)の中國(guó)論」とは大きく異なる新鮮な切り口に共感した。
「3カ月行かないと別の國(guó)!」とまで言われる中國(guó)。スマホ人口はおよそ9億人。商店街でも地下鉄車(chē)內(nèi)でもスマホが溢れている。スマホは個(gè)人の身分証明書(shū)の役割も果たし、自転車(chē)から家まで、シェアエコノミーが大はやりである。
本書(shū)はこの中國(guó)を留學(xué)や仕事を通じて30年以上ウォッチしてきたジャーナリストによる迫真の現(xiàn)地ルポ。評(píng)者は最近、沿海部や內(nèi)陸部で、「キャッシュレス社會(huì)」や「起業(yè)家エコノミー」への変貌ぶりに驚かされたばかりだが、ステレオタイプ的な「舊來(lái)の中國(guó)論」とは大きく異なる新鮮な切り口に共感した。
日本では中國(guó)の共産黨大會(huì)や人事抗?fàn)?、経済狀況については報(bào)じられるが、中國(guó)人の生活実態(tài)や考え方の変化なビについて、それほど報(bào)道されていない。この結(jié)果「多くの日本人が持つ中國(guó)、あるいは中國(guó)人のイメージは(舊來(lái)と)大きくは変わっていない」と著者は疑問(wèn)を投げかける。
「日本人が最も理解しにくいのは、中國(guó)人の幅があまりにも広いこと」とであり、「日本の社會(huì)が世界でも稀に見(jiàn)るほど均一化されていることの裏返しでもある」と喝破?!钢袊?guó)は國(guó)土が広く、多民族國(guó)家で、教育レベルも地域によって大きく異なる。中國(guó)人と一口にいっても、そこにはさまざまな人がいて、その幅や階層を日本人はなかなか実感として理解できない」と分析している。
注目すべきは、「中國(guó)の情報(bào)統(tǒng)制」について詳述した第3章。統(tǒng)制の面があることを認(rèn)めつつも、この見(jiàn)方が一面的なものに過(guò)ぎないことを、さまざまな実例を示して指摘している。
中國(guó)人の多くは自分の國(guó)で起きている悪いことは、海外に住む友人のSNSなどを通じて知っており、さらにスマホの発達(dá)で知らないことがさらに減っている。「中國(guó)政府が情報(bào)統(tǒng)制していても人々は案外事情通」と記した上で、「事情を深く知らない外國(guó)人の立場(chǎng)から、彼らは自由な発言ができないと決めつけるのは行き過(guò)ぎだ」と斷じている。中國(guó)の庶民たちと本音ベースのコミュニケーションを長(zhǎng)年築いて來(lái)た著者ならではの分析だろう。
中國(guó)人の行動(dòng)について、著者は「マイナス100からプラス100まで」と表現(xiàn)。日本でニュースとして取り上げられる中國(guó)や中國(guó)人の行動(dòng)は、日本人から見(jiàn)ると、ときに「あり得ない」ものであり、どこか「異質(zhì)」に映る。
中國(guó)の農(nóng)村部には教育を受ける機(jī)會(huì)が限定され、また故郷から一歩も出たことがなく、視野も狹い人々が大勢(shì)いる。日本人にもさまざまな人がいて、その幅はあるが、中國(guó)の幅は私たちの想像を絶するほどの大きさがあるという。実際の中國(guó)は多様で、複雑で、巨大な國(guó)だけに、さまざまなタイプの人がいて、中國(guó)人も中國(guó)も日々変化している。
その上で、一人ひとり違う個(gè)性を持った「顔のある人々」に素直な気持ちで向き合えば、それぞれ「日本人」「中國(guó)人」という固定化されたイメージとは、違うことに気づく?!袱饯欷蚶斫猡工毪长趣长饯?、真の成熟というものではないだろうか」と訴える。
著者も觸れているように、一般論や公的なデータのみの分析をできるだけ排し、あくまでも現(xiàn)場(chǎng)の聲を重視しているため記述は主観的で、ときに感情移入も。この點(diǎn)が本書(shū)の魅力にもなっている。
著者の一連の中國(guó)現(xiàn)地ルポシリーズである『なぜ中國(guó)人は日本のトイレの虜になるのか?』『中國(guó)人エリートは中國(guó)をめざす』(ともに中公新書(shū))、『「爆買(mǎi)い」後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)などと同様、本書(shū)も、日中の政治體制は異なっても、受験や就職、結(jié)婚、介護(hù)に悩む市井の人々は同じという考え方が“通奏低音”となっている。分析は冷靜だが、庶民に対する眼差し(まなざし)は溫かい。(評(píng)者?八牧浩行)
<中島恵著『なぜ中國(guó)人は財(cái)布を持たないのか』(日経プレミアシリーズ、850円=稅別)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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