<コラム>今の人間にとって必要なのは…チベットの高地で活仏に會った

武 小燕    2017年10月13日(金) 23時0分

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ゴクロ?チベット族自治州の州政府所在地から車で約2時間走ると、道沿いに雄大な雪山が現(xiàn)れる。寫真は筆者提供。

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ゴクロ?チベット族自治州の州政府所在地から車で約2時間走ると、道沿いに雄大な雪山が現(xiàn)れる(寫真1)。チベット地域の四大神山の一つであるアニマチン雪山は、黃河源流にある最大の山である。アニマチンとはチベット語で「強くて豊かな祖先」という意味で、毎年多くの信者が巡禮に來るそうだ。雪山からさらに15分くらい走ると、道から少し離れた山の麓に金色と褐色が特徴的なお寺が見えてくる。山腰には色とりどりの三角形の旗が飾られ、透き通った青空、そびえ立った山、壯麗なお寺、これらのすべては清らかさと神聖感をもたらしている。今回の目的地であるアニマチン?チベット族文化センターは、まさにここにたたずんでいた(寫真2)。

その他の寫真

文化センターは活仏のサイジャンラジャ氏の下で2005年からアニマチン神殿を改築?拡充したものである?,F(xiàn)在、チベット仏教、職業(yè)教育、普通教育を展開する総合的な施設になっている。文化センターの主な建物は改築後のアニマチン神殿であり、神殿を囲む広大な庭の前に雄々しいアニマチンの仏像が建てられている。同行してくれたマチン県副県長の黃敏氏の案內(nèi)で、私たちはサイジャンラジャ活仏を訪ねた(寫真3)。迎えてくれた活仏は溫厚な笑顔を見せる50代の方で、人を見抜いたような眼差しにいかめしさを感じた。私たちは用意したハダ等を捧げ、活仏に案內(nèi)され施設のリビングに移動した。

活仏の住居は神殿の後側(cè)にあり、2階建ての長方形の建物である。外側(cè)の壁は神殿と同じ色とデザインで統(tǒng)一感を保っている。建物の真中は吹き抜けとなっており、太陽の光がたっぷり注いできて非常に明るい。1階の中央はリビングルームであり、その周辺にはいくつかの部屋がある。吹き抜けの真下に重厚感のある純木で美しい彫刻で飾られているテーブルやリビングチェアが並べてあり、テーブルの上には來客用の「マーホア」と呼ばれる縄狀のお菓子が大量に積み上げられていた。

その後、活仏は神殿に案內(nèi)してくれた(寫真4)。神殿の階段を上がってきらびやかな裝飾で飾られた門を通ると、広々とした殿堂に入る。室內(nèi)の正面以外の壁はチベット族の歴史とチベット仏教の曼荼羅(まんだら)を描いたタンカで飾られている。タンカとはチベット族の伝統(tǒng)的な絵畫である。その顔料が金銀やメノウなどの鉱物金屬とサフランやルバーブなどの植物といった自然界の天然物から作られているため、布に描かれたタンカは非常に鮮やかで、いくら年月が経っても色褪せないと言われている。正面の真ん中に千手観音菩薩が祭られており、その両側(cè)に數(shù)々の仏像が鎮(zhèn)座している。仏像はそれぞれに表情や姿勢が異なり、いずれも生命力にあふれて生き生きとして美しい。華やかなタンカと躍動感のある數(shù)々の仏像が鎮(zhèn)座する殿堂は、荘厳かつ慈悲に満ちた雰囲気が漂っていた。そこからはこの神殿を建立した人々の強い信仰心とチベット文化の奧深さを感じる。

文化センターの教室は神殿の右側(cè)にある。赤い扉の上には「チベット文化學院」の文字が金色で輝いている。扉を開けると、四角い広い舞臺が現(xiàn)れ、正面にはポタラ宮を描いた巨大な布の掛図が壁一面に広がっている。天井はガラス製で、晴天のときにあまりにまぶしいためか、天井のすぐ下に何枚かの布が引かれていて、床に明るい光と布の大きな影が交錯している。この舞臺を囲んで1階と2階にいくつかの教室が配置されている。機の上に置かれた英語の練習帳は丁寧な文字で書かれており、生徒のまじめさが伝わってくる。

一方で、教科書のブックカバーをお姫様の模様で可愛く飾る一面もあり、どうやら子どもたちの憧れは世界共通のようだ。別の教室には十數(shù)臺の畫架(イーゼル)が置かれている。練習用に描いた絵の中には仏像や植物のスケッチもあり、タンカを練習していたと思われる(寫真5)。

訪問した日は日曜日だったため、教室は靜かであった。その代わりに、庭は寮生活をしている生徒たちでにぎわっていた??烨绀翁鞖荬恰⒍啶紊饯蠏叱湎村洳紘飧嗓筏颏筏皮い?、神殿と庭の柵はこうした洗濯物や布団のかっこうな干場になっている(寫真6)。宗教の神聖さと宗教や學校といった文化のなかで暮らす人々の生活の息吹が混じり、活気があった。私は神殿の周辺にある學生寮で何人かの女子と話をしてみた。寮は約10?12畳の部屋で、各部屋には2?3つの二段階ベッドが置かれ、4?6人が住んでいる。まだ9月上旬だが、標高4200メートルという高地のため最低気溫がすでに零下まで下がっている。

話をした3人はそれぞれ16歳、18歳、20歳で、ここで職業(yè)教育または普通教育を受けている。シャイでありながら私にまっすぐ向けられた眼差しからは、自信とここで學ぶことの喜びを感じた。今年で高校を卒業(yè)する18歳の子に進路を聞くと、「醫(yī)大に入って醫(yī)學を?qū)Wびたい」と明るい笑顔で答えてくれた。

文化センターはもともとチベット族の文化を広げると同時に、義務教育からドロップアウトした子どもに向けて義務教育の學びも提供していた。2013年には地域のニーズに応え民営のアニマチン民族職業(yè)學校を設立している。職業(yè)學校だが、普通教育も提供し、高校卒業(yè)証書も発行している?,F(xiàn)在、チベット語、國語、算數(shù)、英語、タンカ、チベット劇、民族歌謡と民族舞踴、音楽、ガイド、コンピューターなどの科目を設けている。ここでの學びはすべて無料で提供し、遊牧民のなかの貧困家庭の子女や孤児を?qū)澫螭趣筏皮い?。貧しい人にとっては希望の存在だと言える?/p>

校長を兼任する活仏は、今の人間にとって必要なのは「智恵」と「慈悲」だと繰り返し語った。全國で多くの信者を持つサイジャンラジャ活仏が、近代化がもたらした都市の繁栄と利便性より人間の內(nèi)面的な知性と愛情に希望を託したことが深く印象に殘った。

■筆者プロフィール:武 小燕

中國出身、愛知県在住。中國の大學で日本語を?qū)Wんだ後、日系企業(yè)に入社。2002年に日本留學し、2011年に名古屋大學で博士號(教育學)を取得。単著『改革開放後中國の愛國主義教育:社會の近代化と徳育の機能をめぐって』、共著『変容する中華世界の教育とアイデンティテ?!?、『歴史教育の比較史』、研究報告書『多文化世帯に生きる子どもたちの言語習得に関する実証研究:愛知県における中國系世帯とブラジル系世帯の比較を通して』などがある?,F(xiàn)在名古屋付近の大學で研究と教育に取り組んでいる。一児の母として多文化教育を?qū)g踐中。教育、子育て、社會文化について幅広く関心をもっている。

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