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東京株式市場の日経平均株価は1萬6千円臺半ばに下落、アベノミクスの一枚看板である「株高」に赤信號が點燈。株価浮揚策として、第3弾の異次元緩和を求める聲が市場で高まっている。寫真は日本銀行。
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世界的な株安連鎖の中で東京株式市場の日経平均株価は1萬6千円臺半ばに下落、アベノミクスの一枚看板である「株高」に赤信號が點燈。株価浮揚策として、第3弾の異次元緩和を求める聲が市場で高まっており、日銀が28、29の両日開催する金融政策決定會合が注目されている。
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2012年にスタートしたアベノミクスの異次元金融緩和により、昨年各月末平均のマネタリーベース殘高は313兆円に膨らんだ。日経平均が約4萬円に達したバブルのピーク時(1989年末)は34兆円だったから、実に8倍も資金をつぎ込んだ計算だ。現在の金融緩和がいかに異常な狀態(tài)か分かる。
15年の東証株時価総額は569兆円に達し、既に1989年前後のバブル時代や、リーマンショック前のITバブル時代と同レベルに達している。前2回のバブル後、株価長期大幅下落につながった。
年明け後東京株式市場の日経平均株価の下げ基調が続いている。21日には1萬6000円ぎりぎりの水準に沈んだ。いったん1萬7000円臺に戻したものの、26日は400円安の1萬6500円に逆戻り。年初からの下げ幅は2500円以上。東証の売買シェアに占める海外投資家の割合が7割に達している中、世界的な株安連鎖に巻き込まれる形で、日本株が売られている。
◆弾丸が盡きた印象を與える
原油安や中國経済の減速などの要因のほか、円の対ドル相場が一時115円臺に上昇、市場関係者からは追加金融緩和を催促する聲も出始めた。2012年11月からのアベノミクス相場第1弾、2014年10月からの量的金融緩和第2弾相場に次ぐ、量的金融緩和3弾が打ち出されれば、「上昇相場が想定できる」(武者陵司?武者リサーチ代表)という期待からだ。ただこの“頼みの綱”も、「弾丸が盡きた印象を與え、即効薬にならない」(海外投資家)と見る向きが多い。
日銀の黒田東彥総裁は21日の參院決算委員會で、過去2回の量的金融緩和について「所期の効果を発揮している」と述べた上で?日本経済について「ファンダメンタルズ(基礎的條件)は緩やかに回復している」と強調、物価についても「基調は著実に改善している」との判斷を示した。年初からの株安などを踏まえ「金融市場の動きが経済や物価に與える影響には十分に注視したい」と言明したものの、従來と同様の説明に終始した。日銀の宮野谷篤大阪支店長は18日午後、支店長會議後の記者會見で、追加金融緩和への期待について「追加緩和してほしいと言っているのは証券會社の人たちであり、企業(yè)はそれほどでもない」と述べた。実體経済にはこれ以上の金融緩和の恩恵は及ばないとの企業(yè)経営者の聲を代弁したものだ。
渡辺博史國際協(xié)力銀行総裁(元財務官)は19日の日本記者クラブでの記者會見で、「米歐日本がこの6?7年に流動性資金を供給、20世紀の初めの3倍ぐらいの資金が証券市場と先物原油市場に向かった。一昨年から調整が始まり、3分の1ぐらいが還流されたが、半分以上が殘されている」と分析?!福à长螤顟B(tài)で)日銀が量の拡大という形で施策を取るとも見えない」と語った。
異次元緩和はもともと短期決戦用のツールだった。長期戦を強いられている今、持久可能な政策の枠組みが必要だ?!笐榱Δ沃鸫瓮度毪悉筏胜ぁ工趣筏匹啸憨`カ砲を2弾放った結果、3弾目は余程の成算がなければ放てない。世界的な原油安や中國人民元安の中での追加緩和は効果がかき消され、「弾切れ」を見透かされる恐れもある。
富士通総研経済研究所の早川英男?エグゼクティブ?フェロー(元日本銀行理事調査統(tǒng)計局長)は、「將來2%インフレ目標を日銀が達成し大量の國債買い入れを終了すれば、長期金利は大幅に上昇してしまう。そうなると、長期債を大量に保有する地銀や信用金庫が多額の損失を被り、金融システムに影響。長期債を抱え込んだ日銀の損失も莫大となる。國債の大量発行に依存する國も國債金利が上昇し、財政破たんの危機に直面する」と警告する。
◆経済成長戦略推進を!
日本では15?64歳の生産年齢人口が1996年を境に減少し、內需の縮小が避けられない。こうした狀況下では、アベノミクスの異次元緩和は國內総生産(GDP)上昇につながらない。日本のGDPは民主黨政権下の2012年に実質1.7%だったが、15年には0.6%に鈍化している」と語るのは藻谷浩介日本総研主任研究員だ。
日銀のこれ以上の追加緩和は各國間の“通貨安競爭”を招き市場を混亂させるとの見方も多い。小手先の策はもはや通じない。アベノミクス當初の「第3の矢」である、構造改革など経済成長戦略を推進するしかない。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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